大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、島津海を上手投げで破り、12勝2敗とした。

立ち合いから一気に前に出たが、もろ差しを許して組み止められると、反撃に遭った。土俵中央まで寄り返されたが、命綱の上手を離さず、左から豪快に投げた。13日目終了時点で、十両優勝争いは逸ノ城を1差で追う展開。この日、先に取組を行った逸ノ城が勝っており、負ければ千秋楽を待たずに、先場所に続く2場所連続の十両優勝を逃すところだったが、踏みとどまった。

取組後は「最初、当たった時に上手が取れました。先場所(の対戦)と似ているんですけど、右をおっつけて出たんですけど残られて、あとはじっくりと攻めていった。差し負けたところが反省点でしたけど、相手が出てきたところを思い切り投げを打てたので、勝ちにつながったと思います」と振り返った。

12日目に西前頭15枚目の王鵬に敗れ、痛い2敗目を喫した。防戦一方の展開で、取組後は映像を「何十回」と繰り返し確認。天空海に勝って連敗を免れた13日目の取組後は「昨日(12日目)の相撲は全然ダメでしたので、その思いを今日にぶつけようと思って土俵に上がりました」と、雪辱の思いにあふれていた。目指しているのは内容でも納得できる白星。この日の取組後も「もろ差しになられる、相手の形にさせてしまったのが、まだまだ詰めが厳しくないということ。(上手は)もっと浅く取りたい」と、反省を口にし、満足する取り口ではなかった。

千秋楽は、自身が勝っても、逸ノ城が負けなければ逆転優勝の可能性はない。すでに直接対決は終えている。「追いかける立場なので、千秋楽、最後の一番、悔いのないように、目の前の一番に集中して、自分の相撲を取り切って終わりたいです」と、表情を引き締めて話した。逸ノ城には直接対決で敗れており、決定戦に持ち込まれれば、雪辱の機会が訪れるが「その前にやっぱり、自分が勝たないといけない」ときっぱり。“人事を尽くして天命を待つ”の心境だ。