優勝争いは2敗を守った小結大栄翔(29=追手風)と、1差の3敗で追う関脇霧馬山(26=陸奥)の2人に絞られた。

1差で追う平幕の翠富士(26=伊勢ケ浜)を一方的な相撲で突き出した大栄翔は、21年初場所以来となる2度目の優勝を目指す。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、前回優勝時と比べて「前回は(番付)上位者が多かったから激しい突き押しで、勢いで行った。相手を見て突いて行ったら(勝負どころに)間に合わないから」と振り返り、一方で今場所については「よく相手を見て落ち着いて突いている」とし、優勝経験も「初めての優勝じゃない、ということで落ち着いている」と今場所何度も指摘した精神的な充実ぶりを、あらためて強調していた。

結びの一番後に、千秋楽の取組編成会議が開かれ、千秋楽結びの一番で、この両者が激突することが決まった。リモート取材中は、まだ千秋楽の取組は決まっていなかったが、八角理事長は「大栄翔は明日の一番、おそらく霧馬山と組まれるでしょう。結びの一番まで優勝が決まらないというのは、私たちにとって一番いいこと」と、興行面で最高の舞台が整うことを歓迎するように語った。

また、番付の権威が保たれるように、番付上位の三役陣に優勝が絞られた状況にも「最後まで三役以上が番付以上にね(頑張った)」と奮闘ぶりを評価。さらに千秋楽の結果次第で、三役陣の5人が2ケタ勝利を挙げる可能性についても「2ケタ勝って『よしっ』と思う力士もいるだろう。(霧馬山に)誘発されて豊昇龍も琴ノ若も『俺も出来る』と思っただろう。このチャンスをものにしてほしい」と、5月の夏場所が大関とりとなる霧馬山をはじめ、大関候補が続出している状況を歓迎するような口調で語った。