大相撲の陸奥部屋で力士による暴力行為があったことが9日、分かった。

ニュースサイト「デイリー新潮」が報じたもので、被害者で三段目の安西(やすにし、21)は日刊スポーツの取材にも元兄弟子(28)から暴力を振るわれていた事実を認めた。

報道を受けて師匠の陸奥親方(64=元大関霧島)、コンプライアンス部長の花籠親方(64=元関脇太寿山)ら日本相撲協会関係者が、都内で報道陣の取材に口を開いた。

両親方ともに、最高位幕下の元力士が、弟弟子にあたる安西に暴力を振るった事実を認めた。暴力を振るった加害者力士は、すでに4月中に断髪式を終え、日本相撲協会に引退届を提出、受理されたという。

関係者の話を総合すると、安西への暴力については1月には、コンプライアンス部長の花籠親方にも話が伝わっていた。その後、加害者力士が引退することが決まり、花籠親方は収束したという認識だったという。だが安西から外部の弁護士らが窓口のコンプライアンス委員会に訴えがあり、花籠親方が聴き取りを行ったのが4月23日ごろ。その後、4月25日になって、外部のコンプライアンス委員会から、安西の訴えが取り下げられたとの連絡が入った。

陸奥親方は言葉こそ少なかったが「協会にはちゃんと言っています。何も隠していません」と話した。花籠親方は「安西は『引退する兄弟子に、これ以上の罰は望まない』と言っていた」と、被害者力士に処分を求める感情がないと説明。加害者力士が引退、被害者力士がコンプライアンス委員会への訴えを取り下げたことで、今後は追加の聴き取りなどは行われない予定だ。