大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、今場所初黒星を喫した。初日から7連勝で臨んだが、13場所ぶりの幕内勝ち越しはお預けとなった。現役最長身204センチの北青鵬に、下手投げで敗れた。立ち合いで左に変化され、左上手を許した。がっぷりと組んで前に出たが、立ち合い変化で後手に回った分、相手に上手の良い位置を許し、最後は投げに転がった。北青鵬との顔合わせは、互いに十両だった初場所に続き2度目。その時は勝ったが、返り討ちに遭った格好となった。

取組後は「横にずれてくるのは予想していなかった。対応できなかったということは、まだ弱い部分」と、唇をかんだ。「立ち合い変化で慌てたか?」の質問には「そうですね。変わられた時に、体ごとあっち(相手の方)に向いていかないといけなかった。先に攻めようとしたけど…。昔から指摘されている通り、上手を切らないといけなかった。勉強不足。負けは負け。切り返していくしかない」と、反省の弁を繰り返した。

前日20日の7日目は、初顔合わせの一山本に何もさせず、完勝した。同学年で中大出身の一山本とは、自身が近大時以来「7、8年ぶり。すごく楽しみだった」という対戦だった。普段は仲が良いが「土俵に上がれば関係ない」と、寄せ付けなかった。3日目の琴恵光戦こそ、行司軍配差し違えの辛勝だったが、その後は好内容の取組を続けていた。

初場所の大翔鵬、春場所の逸ノ城と、168キロの自身よりも体重の重い相手に敗れていた。この日の北青鵬は、185キロという重さ以上に、189センチの身長よりも15センチも大きな相手。前日7日目の取組後は「思い切っていくだけ。恥ずかしい相撲は取れない」と、身上とする真っ向勝負を誓っていた。その中で、今場所初の立ち合い変化に対応が遅れた。

この日で勝ち越しがかかっていたことには「頭の片隅にあった。欲が出たかもしれない」と、無意識に勝ちを意識していたと分析した。「1つ負けたので、明日からまた、自分の相撲を取っていきたい」。7日目まで良い流れをつくってきたが、9日目から仕切り直すことになった。

大相撲夏場所全取組結果