8連勝こそ逃した朝乃山ですが最小限の1敗で勝ち越しを決めました。ここまで平幕下位が相手でしたが、先場所は上位だった竜電には立ち合いを止められ相手に相撲を取られてしまった印象です。右を差しても二の矢の攻めを防がれ苦戦しましたが、竜電に次の攻めがないことに救われました。左を巻き替え慎重に圧力をかけて勝負を決めました。10日目はまた少し番付が上がり平戸海ですが、スピードはあるけど体力差は明らか。土俵際で詰めの甘さが出なければ、1敗のまま残り5日の後半戦に入ると思います。

その後半戦は割を崩しても、朝乃山を優勝争いの三役以上と当てて、ファンの期待に応えてほしいと思います。心の面できつい思いをした2年間だったでしょう。ただ体の面ではケガもなく、技術面で衰えるわけもなく、何より次期横綱候補と期待された大関経験者です。2年前の「強かった朝乃山」をファンに再び見せるためにも、番付下位でなく上位を倒しての優勝争いに加わってほしいと思います。

結びの一番では明生が、理想の攻めで全勝の横綱に土をつけました。膝を曲げてすり足で相撲を取りたい照ノ富士を、左右に動かし足を伸ばさせた攻めは光りました。これで再び3人が1敗で並び、1差で4人が追う白熱の展開です。その中に朝乃山がいます。だからこそ、朝乃山の上位戦に期待します。(日刊スポーツ評論家)

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