結びの一番で横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、小結琴ノ若(25=佐渡ケ嶽)に苦戦を強いられながら、何とか寄り切って9勝目。平幕の朝乃山(29=高砂)とともに1敗を守り、優勝争いでトップの座をキープした。

琴ノ若に二本差され防戦に。何とかしのぎ左四つでガップリ胸を合わせた。琴ノ若の右上手が1枚まわしだったことにも救われたが、照ノ富士も左の前まわしを取れず、下がりをつかんだまま、最後はその下がりも抜けてしまい苦戦を招いた。最後は、琴ノ若の左からの下手投げが少し、呼び込む形となり、そこに密着した横綱が力を振り絞って寄り切った。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、取組前に「照ノ富士はガップリになるのが一番いい。琴ノ若は二本差したいところ」と展望していた。ほぼその通りの展開となった一番に「左を(まわしを)取れずに下がりをつかんで出たところは危なかった」と苦戦の要因を指摘しつつ「(寄られた)正面でよく残った。そのへんは落ち着いていた」と照ノ富士の精神面の強さを分析した。

正面土俵下で見守った浅香山審判長(元大関魁皇)は「琴ノ若が中に入って攻め返した時は、このまま行くんじゃないかと思ったが、照ノ富士がよく残した。その後も振られたりしても、地に足をつけて踏ん張って我慢して、よく攻め返した」と解説。「横綱の迫力が伝わってくる相撲でした」と評価した。前日の明生戦でも、前後左右に動かされ膝への負担が懸念される。その点についても、同審判長は「今日みたいな相撲は膝に負担がかかる。痛めなければいいな、と思います」と気遣っていた。

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