大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、2敗目を喫した。2年ぶりに顔を合わせた関脇大栄翔に、見せ場をつくることができずに敗れた。

立ち合いから突き、押しの相手に防戦一方で押し出された。これで対戦成績は7勝10敗。合口が良くなかった実力者相手とはいえ、幕内優勝に向けて痛い1敗を喫した。幕内下位の朝乃山が好成績のため、この日から本来は当たらない上位戦を組まれたが、これに敗れた。

取組後は「踏み込んだけど、相手の方が下から攻めてきた。まともに受ける形になってしまった。自分の相撲ができず、足も運べなかった」と、表情を曇らせて話した。出足の鋭い押し相撲の相手に引いたところを、さらに攻め込まれて土俵を割り「ダメですね…。自分の実力」と、肩を落とした。

大関時代の21年夏場所以来の幕内で、幕内上位と取組を行うのも、その時以来だった。三役相手で「取組時間も遅くて、上位と2年ぶりに本場所で相撲を取れたのはよかった」と、収穫を口にした。ただ、一方で「(幕内前半戦と)雰囲気は違った」と振り返り、緊張していたかどうかも、自身でも分からなかったという。知らず知らずのうちに、気持ちが高ぶっていたことをうかがわせた。

2敗に後退し、取組前までは1敗で並んでいた横綱照ノ富士が勝ったことで、1差を追う展開となった。その照ノ富士とは13日目に、2年2カ月ぶりに対戦することが決まった。結びの一番で取るのは、大関時代の21年夏場所9日目の阿武咲戦以来739日ぶり。横綱戦は、20年春場所14日目の鶴竜戦以来1161日ぶりとなる。照ノ富士には過去5戦全敗と、この日の大栄翔以上に合口は悪い。それでも「思い切ってやるしかない。いい相撲を取れるように頑張りたい」と力説。試練の連続を乗り越え、4年ぶり2度目の幕内優勝を目指す。

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