4年ぶりの優勝を目指し、1敗で横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)とともに優勝争いでトップを並走していた平幕の朝乃山(29=高砂)が、関脇大栄翔(29=追手風)に完敗し、2敗に後退した。

大栄翔の回転のいい突き押しを、あてがいながら何とかはね上げようとしたが、前傾姿勢で出る大栄翔の圧力を受け徐々に後退。たまらず引いて右に回り込もうとしたが、上体が浮き向正面で横を向かされ、反撃の糸口さえつかめず押し出された。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、まず大栄翔らしさが詰まった押し相撲を「動いて自分の距離を取っていた。会心の相撲じゃないかな」の言葉で評価した。

防戦一方だった朝乃山については、取組前の時点で対戦成績は7勝9敗、大関時代も3勝2敗と苦戦していたこともあり「合口が悪い。気分よく(大栄翔に相撲を)取らせてしまった。おっつけて(大栄翔の突きの)回転をなくすとかしたかったけど、気持ち良く取らせてしまった」と指摘した。13日目は、大関時代に5度対戦し、全敗だった照ノ富士との大一番を控えるが、同理事長は「どうなんだろうね」と展望には言及しなかった。