日大で昨年度の主将を務めた春山(22=尾上)が、序ノ口優勝を決めた。黎大丸(れおんまる、23=式秀)との全勝対決を一方的に寄り切る完勝。「うれしいです。負けられないというより、自分の相撲を取ろうとだけ考えていた」と、ホッとしたような表情で冷静に話した。

新弟子検査を申し込んだ春場所は、新型コロナウイルス感染症対策の一環で前相撲が行われなかった。そのため、アマチュアでの実績に応じた付け出し資格でデビューする力士を除き、前相撲を経験していない珍しいキャリアで、今場所から実質的にプロ生活をスタートさせた。それだけに「最初の1番は(不慣れな)所作などもあって緊張した」という。ただ、日大では主将として、全国学生選手権で団体優勝に導いた実力者。「あとの6番は緊張しなかった」と、大相撲の土俵にもすぐに慣れた。

鹿児島・奄美大島の瀬戸内町出身。同町出身で、今場所は横綱照ノ富士から金星を挙げるなど、活躍している明生は「自分が小さいころから強い存在。あこがれていた」という。強豪の埼玉栄中、高に留学した。同級生には十両北の若らがいる。明生や高校時代の同級生と対戦することが、目下の目標で「早く当たるところまでいきたい」と、序ノ口優勝の勢いに乗って、番付を駆け上がりたい思いは強い。

一方で、アマチュア時代から患う腰のヘルニアは、現在も完治していない。師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)には「焦らなくていい」「できることをやればいい」と、腰に負担をかけずに鍛える方針を示され、感謝している。目標とする力士は具体的にはいないが「前に出る相撲を取りたい」と、押し相撲で来場所以降も連勝を続けるつもりだ。