今場所、2年ぶりに幕内力士として土俵に立った東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、738日ぶりに三役から白星を挙げた。同じ大関経験者の小結正代を、立ち合いから押し込んだ。土俵際で粘る相手に、覆いかぶさるように寄り倒し。際どい勝負だったが、攻め込んだ朝乃山の左腕が土俵につくのが、正代が落ちるよりも遅く、勝ち名乗りを受けた。

12日目は関脇大栄翔、前日13日目は横綱照ノ富士を相手に連敗していたが、11勝3敗とした。取組終了時点では辛うじて優勝の可能性を残していたが、結びの一番で1敗の照ノ富士が、2敗の関脇霧馬山を破って8度目の優勝が決定。朝乃山の4年ぶり2度目の優勝は、来場所以降に持ち越しとなった。

取組後は「左(前まわし)を取れた感触はあったけど切れた。止まったら、しぶとい正代関。右を差され、土俵際で巻き替えられたけど、体を預けて寄り倒した。(倒れ込んだ際に左腕を引っ込めたのは)無意識。よかったです」と振り返った。前日は照ノ富士に敗れたが「何も考えず、今日という一番を思い切ってやった。昨日(13日目)の横綱戦は精いっぱい、思い切ってやった結果。負けは仕方ないと切り替えられた」と、11勝目を挙げることだけに集中して臨んでいた。

三役に勝つのは、新型コロナウイルスのガイドライン違反で、6場所出場停止となる前の21年5月19日、夏場所11日目で関脇隆の勝に勝って以来だった。「三役とやるのは(12日目の大栄翔戦に続き)2人目。来場所は全員と当たりたい。4関脇3小結に、今のままだと勝てない。1年の謹慎で三役の顔ぶれが変わったけど、負けないようにしたい」。

まずは千秋楽の相手に決まった、剣翔戦に勝って12勝目を挙げることが目標。少しでも来場所の番付を上げ、名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)では、三役以上から多くの白星を重ねるつもりだ。

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