西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が来場所、史上最速となる所要3場所での新入幕を決定的にした。

本割は欧勝馬を押し出し。14勝1敗で並んだ豪ノ山との優勝決定戦は押し出されて敗れ、初の十両優勝はならなかった。それでも優勝同点の好成績を収め、名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)は、ざんばら髪で幕内土俵を盛り上げることになりそうだ。

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「怪物」が最短距離で幕内に到達する見込みとなった。落合は本割で欧勝馬を圧倒。前に出続け、付け入る隙を与えなかった。14勝1敗。引退と陥落による幕内の空きは4枠以上で、名を連ねるとみられる。正式には6月26日の名古屋場所番付発表で決定するが、「どうなるか分からないけど、師匠には『2場所で通過しなかったら引退』と言われていたので、14勝してホッとした。まだ好きな相撲を続けられる(笑い)」と、冗談交じりに話した。

ただ喜んでばかりではない。優勝決定戦は豪ノ山に一方的に敗れた。先場所、今場所11日目に続き、豪ノ山には3戦全敗。取組後は開口一番「負けた。それだけです」と唇をかんだ。引き揚げる花道では、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)に「いい経験だ」と声をかけられた。その師匠が昇進2場所目でつかんだ十両優勝には届かず「絶対にこの悔しさは、これからの相撲人生に生きてくる。いい負けだった」と前を向いた。

幕下15枚目格付け出しでデビューの初場所を全勝。史上初の所要1場所で関取となった。新十両の先場所も10勝。来場所、所要3場所での新入幕なら遠藤と並ぶ史上最速で、新たな怪物伝説となる。4月の稽古で痛めた左肩はテーピングで固め、3日に1度は病院で痛み止めの注射を打った。負傷休場の兄弟子、炎鵬を「誰もが尊敬」と慕い、思いも背負った。新入幕で新たなしこ名も期待されるが「秘密です」。関係者によると「伯桜鵬(はくおうほう)」などが候補に挙がっているという。怪物から目が離せない。【高田文太】

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