西前頭4枚目の宇良(31=木瀬)が、初土俵から8年かけて通算300勝を挙げた。
竜電を鮮やかな上手出し投げで退け、4勝目とした。両膝の大けがで2度の長期休場を強いられ、一時は序二段まで番付を落とした苦労人。積み上げた白星が大台に到達した。トップの1敗は平幕の高安と熱海富士の2人、2敗は大関貴景勝や霧島ら8人が追う混戦模様となった。
業師、宇良の妙技が光った。竜電の圧力に後退も、左ハズを当てがいながら右前みつを離さずに応戦。土俵際で素早く横に動くと、体を開きながら鮮やかに右の上手出し投げで仕留めた。4勝目で白星先行も“宇良節”は変わらない。普段通り取組後は「分からないですね」と淡々とした口調で答えた。
15年春場所でデビューしてから8年かけ、節目の300勝を達成。これまでに長期離脱は2度あり、共に力士生命すら危ぶまれる膝の大けがだった。一時は西序二段106枚目(19年九州場所)まで番付を落とすも、昨年春場所では故障前の最高位よりも3枚上げ西前頭筆頭となった。苦難を乗り越えて到達した節目について「うれしいというのはないです。もうちょっと早くたどりつきたかった」は本音だろう。回り道をした分、貪欲に相撲を取り続ける。