大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山(29=高砂)が、連勝で7勝5敗とし、勝ち越しに王手をかけた。三役以上では唯一、対戦を残していた小結翔猿を寄り切って破った。翔猿には取組前まで2戦2勝。合口の良さを発揮し、目標の2桁白星まで後がないところで踏ん張った。13日目は前頭御嶽海戦。大関経験者相手に、過去の対戦成績は5勝6敗と負け越している。
「立ち合いはフワッと立ってしまった」と、翔猿に右を差されて押し込まれかけた。だが左上手を取って振り回した。体勢を立て直しかけると、今度は「頭に入っていなかった」という蹴手繰りで、上半身の攻防から意識をそがれた。それでもつかんだ左上手を最後まで離さず、体を預けるようにして寄り切った。2桁白星の可能性を残し「1敗もできない。一番一番やるだけ。明日(13日目)から3日間、しっかり気合を入れ直して頑張りたい」と、力を込めた。
前日11日目は湘南乃海を相手に、立ち合いから得意とは逆の左を差し、右は下からおっつけて一気に寄り切った。10日目の関脇大栄翔戦は、いいところなく敗れていただけに、前日の取組後は「昨日(10日目)ふがいないというか、悔しい相撲だった。昨日、前に出られなかった分、切り替えて前に出る相撲を取れたのはよかった」と、納得の表情を見せていた。流れを好転させたことで、この日は防戦の時間が長かったが、終わってみれば連勝。終盤戦5連勝締めでの、白星2桁到達を目指していく。