大関貴景勝(27=常盤山)が自力優勝の可能性を復活させた。熱海富士が2敗に後退した後の土俵で、関脇琴ノ若を力強く押し出した。星差を1に詰め、13日目に直接対決。優勝の行方を左右する大一番となる。
前日にかど番を脱出した貴景勝は、立ち合いから迷いのない、力強い押し相撲で3敗を守った。熱海富士の2敗目は「全然考えてない」と言い、「気持ちだけはしっかり持っていった。その1日に準備して、やることを決めて勝負することしか考えていない。勝敗はまわりが言うこと。今日の一番、しっかりやったやつだけが明日も(相撲を)やれる。記録の世界だと分かりやすいが相撲は相手の調子だったり、自分の調子でもある。だから毎日準備だけは怠らない」と語った。
優勝を争う中、地位的に最上位の責任感はしっかりと背負う。「その一番をいい形で集中していければつながっていける」。かど番から一転、今年初場所以来4度目の賜杯へ。熱海富士の挑戦を退け、グッと近づいていく。【実藤健一】