大関経験者の東前頭7枚目・高安(33=田子ノ浦)が、悲願の初優勝へ残った。小結錦木に押し込まれながら、粘った土俵際ではたき込みを決めた。「精いっぱいの相撲です」。表情を変えずに言った。
10日目、熱海富士との1敗対決に敗れた際、不安を抱える腰の状態が心配された。11日目の大栄翔戦でも完敗して連敗。しかしこの日は粘り腰を発揮した。
何度も賜杯に手が届きそうになりながら不運にも泣いてきた。昨年春場所では若隆景に優勝決定戦で敗れた。その取組後に「これが結果です」と声を絞り出し、「力足らずです。負けたということはまだまだ稽古が足りないということ。本当に勉強させていただきました」と言った。それだけ優勝の重みを知る。「見ているお客さんに伝わるように相撲をとっていきたい。精いっぱいやるだけです」。可能性をつないだ残り3日に全力を尽くす。