優勝争いの先頭に立つ熱海富士が2敗に後退した。大栄翔の激しい突き押しにもひるまず耐える。反撃の芽を探り、いなしにいったが裏目に出た。逆にいなされ足が流れて土俵上に落ちた。勝てば13日目にも優勝が決まるチャンスを物にできず「負けたんで悔しいですね」とがっくりと肩を落とした。
3敗の貴景勝、高安が順当に勝ったため星の差が一つに縮まったが、それでもなお単独トップ。13日目に貴景勝に勝てば、初優勝の機運はぐっと高まる。初土俵から所要18場所での初優勝となれば貴花田(後の貴乃花)と朝青龍の24場所を大幅に更新し、年6場所制となった1958年以降初土俵の力士では最速(付け出しを除く)となる。
喜怒哀楽を素直に表現する姿に「令和の高見盛」ともいわれる。元小結高見盛の東関親方からは「良いんじゃないですかね。何より個性がある力士が出てくるのは相撲界にとっても良いこと」と期待を寄せられた。
残り3日。2敗に後退も「やることは変わらない。切り替えて頑張ります」と自らを奮い立たせるように言った。初の大関戦にすべてをぶつける。【平山連】