「北陸に元気と勇気を!!」。大相撲の大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山(高砂)が、30歳の誕生日を迎えた今日1日を前に、日刊スポーツのインタビューに応じた。「30歳の誓い」として、元日の能登半島地震の被災者に寄り添う決意を表明。出身の富山県だけではなく、隣接する石川県の甚大な被害に心を痛め、同じ北陸地方の仲間として、まずは三役返り咲き、さらにその先を目指し続ける。

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次代の大相撲を背負い、いずれは横綱へ-。そんな期待を背負い、近大から入門して4年。コロナ禍の20年春場所後に、朝乃山は大関に昇進した。当時は26歳になったばかり。その1年余り後の21年夏場所中に、日本相撲協会が定めた新型コロナウイルスのガイドライン違反が発覚した。同場所途中から謹慎休場し、さらに6場所出場停止。明るい未来が待っていると思われた20代後半は、大部分が転落人生となった。そんな20代を終え、30歳を目前にした思いを素直に語った。

朝乃山 「大卒で入って気付けばもう30歳。あっという間でした。僕の場合は1度、上まで行って不祥事で番付を落とした。自らの過ち、自覚のない行動で。もう1度、上に戻りたいというか、上がりたい。厳しいかもしれないけど、現役でいる限りは、上を目指してやっていきたいです」。

あえて口には出さないが「上」は、かつて周囲が同じ富山市呉羽地区出身の太刀山と重ねた横綱を見据えている。3年ぶりに富山市でファンと交流した、昨年2月に1度だけ「1番の恩返しは、てっぺんになること」と、横綱への思いを口にした。地元の応援に感謝し、過去に追いつき、追い越して恩に報いたい思いが朝乃山の大部分を占める。

だからこそ富山県と、隣接する石川県が一段と被害を受けた能登半島地震に心を痛めた。地震発生からほどない、初場所中は「地震のことはあまり話したくない。軽々しくは話せない」とも話していた。ただ、それも乗り越えた。「30歳の誓い」を問うと「北陸に元気と勇気を!!」と書いた。

朝乃山 「今は本当に、この気持ちが強いですね。初場所は初日から7連勝後にけがで休場。トップから落ちて悔しかった。4場所連続けが。疫病神に取りつかれたみたい(笑い)」。

冗談めかして話したが、けがが増えたことも偶然ではなく、加齢も影響していると考えるようになった。だから食事は糖分、塩分を控え始めた。「若い時に比べたら寝て、起きた時の回復力が違う」と、疲労の回復も遅くなったと感じる。ただ「稽古の量は変わらない」という。富山、さらには北陸地方と、地元の人に喜んでもらいたい思いが根底にあるから努力できる。

朝乃山 「あの時は本当に自分が情けなかった…。でも後悔している場合じゃない。30歳はベテランじゃないです。中堅です」。

老け込むつもりはない。まだ成長できると信じて疑っていない。【高田文太】