電車の中で新聞を読んでいる人は希少だ。おしなべてスマホの奴隷、はがきも手紙もなし、すべてメールでことたりる。

スマホでゲームを朝から楽しむ若者も多い。ビデオゲームを使った対戦を競技とする団体も設立された。エレクトロニック・スポーツ、eスポーツだ。このコンテンツを既成のスポーツと同列に並べるのに抵抗があるが、どんどん食い込んでくる。市場規模の桁が違うからで、経済産業省までもが色目を使う。

最近、毎日新聞は、やたらとeスポーツに熱心である。高校生の全国大会を主催したりして、購読者の増加を狙っているようだ。eスポーツは、2022年のアジア大会の正式種目として採用が決定しているばかりか、24年のパリ五輪の新種目候補でもあるのだ。19年の茨城国体の文化プログラムに選ばれ、「競技スポーツ」としての確たる地歩を固めつつある。

世界中の市場規模は2000億円前後、日本の市場は試算で約90億円に達するという。米国では約500億円といい、市場はさらに拡大傾向にあるらしい。大型商業施設の広場を用いて、大画面でeスポーツ大会を企画すれば、多くの観客が集まる。賞金大会にすれば、プロも誕生するだろうし、数多くの可能性をはらむ。

ましてや、オリンピック種目になれば、私たち体育系の大学もeスポーツに取り組まねばならなくなる。「スポーツ振興法」は、する、見る、支えると説き、eスポーツをスポーツでないと主張できない状況下にある。

昔からパン・アメリカン大会には、チェスが正式種目に入っている。マージャンも将棋も囲碁もeスポーツ並みの扱いが求められるかもしれない。一般社団法人日本eスポーツ連合の動きが注目される。

対戦形態によるゲーム依存症や長時間による対戦での健康被害が予想されるだけに、本当に「競技スポーツ」と認定していいのだろうか。スポーツの百花繚乱(りょうらん)、eスポーツを毎日以外の新聞やメディアは、どう捉えているのか。