人気俳優の伊勢谷友介(44)が8日、大麻取締法違反容疑で、警視庁に逮捕された。「マトリ」と呼ばれる麻薬取締部(厚生労働省)が、じっと逮捕する機会をうかがっていたのだろうか。なぜ、芸能人が麻薬に手を染めるのだろうか。いや、有名人だから大きく報じられるだけで、毎年、大麻だけでも約3500人が逮捕されるのだ。

米国ではコロラド州やカリフォルニア州など幾つかの州や首都ワシントンDCでは、大麻はOK。カナダでも大麻の所持、使用が合法化されているが、日本ではアウト。大麻は覚醒剤と違って密輸入されるよりも国内で大麻草が栽培され、数種類の薬物として生産され、販売されている特徴をもつ。

私は、かつて麻薬生産王国のアフガニスタンに住んだ。大麻草の畑があちこちにあり、ケシも美しい花を咲かせていた。身近な所で薬物の原料が生産されていたので、どうしても興味をもつ。ケシから阿片(アヘン)を作り、加工してヘロインを製造する。世界中のヘロインのほとんどがアフガン製。反政府勢力の軍資金にもなっていたらしい。

大麻草を逆さまにつるし乾燥させる。それを木づちで粉々にする。水の入ったタライに入れて、かき回すと、底に粘土状の粉がたまる。その粉を手のひらに乗せ火であぶると、茶色のチョコレート状の物ができる。伝統的な「ハッシーシ」(大麻樹脂)だ。どこでも安く売っていたが、買うのは外国人旅行者。私は依存症が怖くて、手を出さずじまい。

覚醒剤の大マーケットが日本だ。伊勢谷容疑者は、覚醒剤ではなく大麻だったゆえ、少しは救われようか。大麻の依存性が弱いからだ。ともかく、薬物に手を出さないこと。

ずいぶん昔、テレビで麻薬で後に逮捕された芸能人がMCの番組のコメンテーターを務めた。生放送だったが、私と話がかみ合わず、おかしくなった。あれは薬物の症状だったと述懐する。今の時代、たばこの吸引だって嫌われるほどうるさいのだ。麻薬は大きな悲劇を生むことを忘れてはならない。