最近、アニマル浜口の「気合だ、気合だ」を耳にしなくなった。柔道や剣道などは気合が大切だ。卓球の張本選手は、気合を注意されて精彩を欠いた。集中して、気合を入れ己の持てる力をすべて出しきる。

高校駅伝を見ていると、多くの選手たちが校名入りのハチマキをしている。ハチマキをして、走ることに集中しようとする意思の表れ、これだけでも心理学的に効果はある。ハチマキの効用はバカにはできないのだ。普通の状態から集中状態に入るには、自分なりの何か決まったルートを持つべし。

入学試験の監督をしていた時、おもむろにハチマキを取り出して頭にしめる受験生がいた。ハチマキによって集中力を高めようとしていたのだ。ラグビーの五郎丸歩選手の両手を眼前で組んで精神統一を図るルーティンが有名だった。精神の集中のためには、だれしも己流のルーティンを持っている。

私の選手時代のルーティンは、試合直前まで読書することだった。一種のゲンかつぎだが、たいていの人は習性としてゲンをかつぐ。「病は気から」という日本人、これは心と身体が一体となっている心身一元論である。

昔から日本には心身一如(いちにょ)という考えがある。外国人からすれば注目に値するものだ。海外のメンタルトレーニングの指導書にも、日本の武道に関する著述が参考文献として多数あげられている。心身一元論たる心身一如の考え方や発生した習慣などの意味を研究したり、取り入れようとする学究が多いといわれる。

ハチマキは古くからの集中力を高めたり、チームワーク、団結心を確かなものにするために取り入れる小道具であった。が、欧米のファッションに押され気味で、今やハチマキはダサいものになりつつある。

ともかくルーティンを活用しよう。自分なりの行動を習慣化して、仕事や勉強に集中力を発揮しよう。25年前、私は「集中力の強化書」(KKベストセラーズ)を出版したが、ちっとも売れなかった。