日体大荏原高に以前、ゴルフの日本を代表する大会に出場する選手が受験。「授業には出られませんので公欠に。授業料は免除して下さい」と父親が言う。高校を何だと考えているのだろうか。もちろん、入学許可は出さなかった。

近年、高校や大学は、一流アスリートに弱い。「入学してくれるのなら所属はどこでもいい」という感じで、学生の大会だけに所属大学を名乗る。水泳の池江璃花子選手を始め柔道の素根輝選手も同様のパターン。学生プロのアスリートが増えつつある。

日体大に入学した高梨沙羅選手は、1年だけクラレとの契約が残っているというので目をつぶったが、結局、卒業までクラレ。どんな一流アスリートでも、大学のチームに入って学生生活を満喫して欲しい。友情もめばえるだろうし、大学に愛着をもってくれる。

ゴルフの河本結選手は、在学中にプロテストに合格した。単位を取得しながら、実習に参加しオンラインで講義を受けてプレーを続け、今春卒業した。多様なケースの学生が増加していて、大学は困惑する。一般入試で入学したアスリートは、自由に活動できるだろうが、スポーツ推薦で入学した者には大学のチームに入ってプレーすべきだと思うし、そこに教育効果がある。

ユニバス(大学スポーツ協会)は、学生プロの扱いについて何の規制もしていない。民間企業から支援を受け、その企業名で大会に出場している選手は「プロ」として扱い、学生の大会に出場させないようにすべきだ。

学生であっても、有名アスリートたちはタレント事務所に所属して、CM出演やイベント参加でギャラを得る。野放しの学生スポーツ界、これで「文武両道」「文武不岐」を実践し、人材育成に貢献することができるか心配だ。この春、元一流ラガーが、1部上場企業の社長に就任した。うれしいニュースである。

高校や大学スポーツのありようが問われている。学校の広告塔のための存在でアスリートがあっていいはずがない。時代の変革を感じる。