[ 2014年6月23日8時56分

 紙面から ]4月、ヘルタの練習で細貝(右)と談笑するラモス(撮影・栗田成芳)

 コロンビア代表FWは、すしに弱い!?

 日本と対戦する同国代表FWアドリアン・ラモス(28=ヘルタ)は、直撃取材に対し「ダメだ」と1度は断った。素っ気なく右手で、あっち行けのしぐさ。関係者は「ラモスは話したがらないんだ」と、いつものことだという。だが翌日の練習後、再び不穏な空気を醸し出すラモスは、すしフィギュアを受け取ると「オ~!

 スシ~」と、喜びながら笑顔で話し出した。

 「日本はすごくいいチーム。チームメートのハジ(MF細貝)からいつも聞いているしね。俺たちは勝つことを望んでいる。ファルカオのけがは本当に残念だったが、できるなら自分が代わりに活躍したい」

 アフリカ東岸のソマリア沖を航海する日本の商船が海賊に襲われた際、すしフィギュアを渡すと金品以上に喜ばれ命拾いするといううわさがあったが、コロンビアFWにも効果を発揮した。重い口から、敵対する日本メディアに対し飛び出したのは、やはりこの男の名前だった。

 「オンダは要注意。ミランの選手として我々は把握している。マークは厳しくするだろう」。マンチェスターUの香川よりも、同じブンデスで活躍する日本人選手たちよりも、真っ先に本田の名前を挙げた。ミランの10番にして日本の攻撃の柱。警戒マークを受けることになりそうだ。

 ラモスは独特のバネとスピードを持ち、今季ブンデスでは中位のヘルタで16得点を決めランク4位タイの実力者。岡崎の15点を上回った。来季から14億円ともいわれる移籍金で、強豪ドルトムントへ加入する。W杯ではこの2戦控えに甘んじていたが、チームは連勝。1次リーグ突破を決めたことでサブ中心の構成で、ラモスが出場する可能性が一気に高まっている。

 最後に細貝から教わったという日本語で別れを告げた。「アリガトウ」。不敵な笑みを浮かべ、フィギュアをうれしそうに眺めていた。【取材、構成=栗田成芳】