SKE48卒業を発表していた東李苑(20)が31日、名古屋のSKE48劇場で、最後の劇場公演に出演した。アンコールでは東の思いが込められた特別セットリストが組まれ、ファンや家族へ最後のメッセージを伝えた。

 まずは親がお気に入りという「渚のCHERRY」を披露し、しっかり親孝行した。さらに熊崎晴香(19)鎌田菜月(20)ら同期の6期生が登場し、胸元の開いたシースルーのセクシー衣装で「スルー・ザ・ナイト」を歌った。立ち位置は、上手側が巨乳メンバー、下手側は非巨乳メンバー。北海道出身で、「十勝平野」と貧乳をいじられることが多かった東は、もちろん下手。自分をオチに使う演出で、ファンを笑わせた。続いて歌った「ロマンスかくれんぼ」は、12年に受けたSKE48オーディションの楽曲。「この曲で始まり、この曲で終われるのがうれしい」と喜んだ。

 東は13年の劇場公演デビューから、48グループ史上最速の18日で正規メンバーに昇格した。同期の北野瑠華(17)は、昇格発表の瞬間を「(別れが)寂しくて号泣して、過呼吸がひどすぎて病院に行った」と振り返り、鎌田菜月(20)から「李苑じゃなくてお前かよ…」と突っ込まれていた。

 東は高い歌唱力と、ピアノや三味線を演奏できる高い音楽センスから、選抜の常連として活躍した。一方で、「私はアイドルに向いているんだろうか?」と自問自答をすることもあったという。そんな中、支えになったのはファンの声援だった。「(自分を)理解してもらえないことも多かった。それでも理解してくれるファンの方がいて、好きでいてくれる方がいるって、本当にすてきなことだなと思いました」と感謝した。卒業祝いにファンから贈られた花束が、白いバラで北海道の形がデザインされていると知ると、「いやー、すごーい!」と珍しく高いテンションで喜んだ。

 スピーチでは、卒業後にしばらく充電期間に入ることを明かした。「皆さんの前に再び姿を現すのは、私のことを忘れたころになると思う。焦らず、じっくりと自分のペースで進めながら頑張りたい」。具体的には明かさなかったが、頭の中に今後のプランがあることをにおわせた。

 最後は「私が育った、私が成長できた公演の曲を、心を込めて歌います」と、「制服の芽」のバラード「手紙のこと」をチームメートと歌った。歌唱後、普段ならファン1人に手書きの手紙をプレゼントするが、「今日は皆さん全員に。コピー機に頼らず書きました!」とファン全員に手書きの手紙を用意したことを明かし、場内から大歓声が起きた。

 公演後は、名残惜しそうにファンへの最後のメッセージを口にした。「私は名古屋と北海道の懸け橋になれましたか? 東京でも大阪でも博多でもなく、名古屋が第2の故郷になった。北海道からノコノコやってきた私を、温かく迎えてくれて、ありがとうございました」。最後に涙が止まらなくなったが、「悲しいんじゃなくて、幸せです。皆さんのこと、愛してまーす!」と、元気に叫んでステージを降りた。