SKE48惣田紗莉渚(26)が15日、東京・新橋演舞場で開幕する舞台「トリッパー遊園地」で、舞台女優としてデビューする。夢だった芝居に挑む惣田の稽古場を訪ねた。そこには、いつも以上に生き生きとした表情の惣田がいた。惣田に今の心境を聞いた。

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-16年に「AKB49~恋愛禁止条例~」SKE48単独公演での舞台経験はありますが、SKE48を飛び出しては初舞台となります。オファーもらった時の率直な感想は

惣田 本当にうれしくて。舞台に出られる。しかもSKE48というグループをこえて初めて出られるということが、夢でもあったのでうれしかったです。

-どんな内容の作品ですか

惣田 戦争時代に遊園地で起きた物語ですが、タイムスリップの話なんです。大変な時代でも、明るく元気に生きようとしている人々の姿を描いています。悲しいだけではなく、強く生きようとした方がいたということを、平成の最後に伝えられたらいいなと思います。

-惣田さんの役は

惣田 遊園地の従業員の娘でハルという役です。お母さんが元売れっ子活弁士(いしのようこ)で、お父さんが大道芸人(みょーちゃん)ですが、お父さんがハーフなので一応クオーターなんです。遊園地の社長の弟ショウヘイさん(辰巳雄大)のことが好きなんだけど、好きとは言えなくて、ずっと思っているという役です。

-時代設定を含め経験がないと思いますが

惣田 すごく難しいと思ったのが、今は男女で気軽に思ったことを言えますが、そういう時代ではなかったということです。結婚相手も決められていたでしょうし、身分の違いもあって。好きだけど言い出せなくて、でも好き。好きだから笑顔でいてほしいと思っているのが難しいけど、頑張ります(笑い)

-SKE48と芝居の違いで実感していることは

惣田 SKE48は惣田紗莉渚の個性をファンに向けてのパフォーマンスですが、お芝居は役としてなんです。だから全ての動きに意味があるのがおもしろいし、すてきだと思います。

-49ミュージカルとの違いは

惣田 あの時は自分がアイドルになりたい女の子の役で、アイドルになった後がむしゃらに頑張るという話だったので結構、等身大でできたんです。今までグループでやっていたことをそのまま舞台にした感じでした。私は再々演だったので、今までの動きをビデオで見て全部覚えるというものでしたが、稽古の時間もすごく短かったんです。だから、こなすので精いっぱいで、なぜこういう動きになるとか考える余裕もなかったんです。自分たちで作るというよりは「すべて同じ動きでやる」「決められたことをやる」という感じでした。でも今回は一からみんなで作り上げています。大変ですが、それが楽しいんです。

-SKE48のファン以外の方にも見てもらうチャンスです

惣田 そうですね。私がそう思わなくても、見てくださる方はSKE48の惣田紗莉渚という目で見ると思うので、自分が役をしっかり務めることで、SKE48のことを知ってもらったり、ちょっとでも(劇場に)見に行こうかなと思ってもらえればうれしいです。

-この作品で伝えたいことは

惣田 戦争というと客観的には悲しいという思いですが、実際にその中にいた人たちからみれば、それは違うなと。そういう時だからこそみんなで支え合って一生懸命生きていた、というのがこの作品から元気をもらえるところだと思うので、見に来てくださった方がそういう何かを感じてもらえたらうれしいです。        (つづく)

 

◆トリッパー遊園地 舞台は2019年の現代と1944年太平洋戦争まっただ中の、2つの時代。観覧車がシンボルマークの山ノ内遊園地は、大道芸や手品のパフォーマンスなど昔風情が息づくが、現代とは時代の折り合いが悪く経営難に陥っていた。

廃れた遊園地の経営改革に乗り出す中、思わぬタイムトリップをすることになる主人公山ノ内マサヒロを演じるのはA.B.C-Z河合郁人(31)。物語の鍵となる1944年の遊園地で働く山ノ内ショウヘイをふぉ~ゆ~辰巳雄大(32)が演じる。

15日から東京・新橋演舞場、30日は岐阜・可児市文化創造センター、31日に愛知・豊田市民文化会館、4月3日から大阪松竹座で公演する。