<第4回AKB48選抜総選挙>◇6日◇東京・日本武道館

 SKE48が大躍進した。昨年14位のエース松井珠理奈(15)が、昨年の14位から9位へと大きく順位を上げ、SKE48トップの座を奪回した。AKB48との活動兼任や入院など、激動の1年を乗り越え、前へ進む姿がファンの心を打った。松井玲奈(20)は、昨年と同じ10位をキープ。ランクイン総数も、6人(40位以内)が入った昨年から、今年は15人(64位以内)を送り込んだ。ダブル松井に続くメンバーたちも存在感を発揮し、勢いをうかがわせた。

 いつもの元気娘のたたずまいではなかった。ふらつく足元。マイクスタンドに体を預けながら、必死に1人で立とうとした。涙を抑えようと、何度も天井を見上げた。松井珠理奈(15)が、昨年の14位から9位に浮上した。喜びを伝えようと、マイクを持った手は震えていた。

 珠理奈

 あまり人前で泣くことが好きじゃなくて、悔しい気持ちがあっても我慢してきたんですけれど、今日だけは許して下さい。

 温かい声援が飛ぶ。「泣いてもいいんだよ!」。その声を合図に、せきを切ったように泣きだした。

 苦難の1年だった。3月のAKB48さいたまスーパーアリーナ公演で、SKE48とAKB48の活動兼任が発表された。多忙を極め、名古屋で深夜の仕事を終えた後、車で移動し、東京で早朝から仕事という日も。心身とも限界に達し、4月には過労で入院した。退院2日後、SKE48の日本ガイシホール公演に一部出演で復帰。今月1日には、AKB48での公演デビューも果たした。新天地では、ファンの大歓声で迎えられた。

 自己最高でもあり、AKB48以外のメンバーでは過去最高の9位。08年、11歳でAKB48のセンターに大抜てきされた天才少女は、挫折やいわれなき批判にも負けず、強くなった。これからはSKE48だけでなく、AKB48と2つの看板を背負っていく。

 珠理奈

 私はどこにいても変わりません。約束させて下さい。チームSとしても、チームKとしても自分らしく全力投球して攻めていきたい。これからも支えて下さい。一緒に階段を上って下さい!

 少し弱気な言葉さえ、名言に聞こえる。珠理奈はやはり、スターだった。【森本隆】