講談社は11日、12日に予定していた週刊の漫画雑誌「ヤングマガジン」の発売を延期すると発表した。AKB48河西智美(21)の胸を少年が手で隠す写真の掲載を予定していたが、同社はこれを「社会通念上、読者に不愉快な感情を抱かせる」と判断した。出版取次会社への搬入も済んでいたが、回収した上、内容を差し替えて今月21日に発売する予定。写真は、2月4日に発売する河西の写真集の表紙に使われる予定だったが、発売自体も白紙に戻して検討中としている。

 異例の事態が起きた。講談社によると、「ヤングマガジン」の見本刷りは10日午前に社内に届いた。この日朝、日刊スポーツを含むスポーツ各紙も、河西の初写真集「とものこと、好き?」(講談社)の発売決定を報じる記事に合わせ、今回問題となった写真を掲載した。12日発売予定だった「ヤングマガジン」では、写真集に先行してこの写真を掲載する予定だったが、社内では発売をめぐる議論が起こったという。新聞で紹介されたことを受け、インターネットなどで批判が出ていた。また匿名の男女から苦情の電話も同社に寄せられたという。協議の結果、同日午後7時ごろ、発売延期を決定した。

 既に製本され、各書店などに卸す取次会社に搬入されていたが、回収に踏み切った。漫画家たちには電話で事情を説明した。書店に並ばないことが確認できた同日午後11時58分、ホームページで延期を告知した。

 問題とされた写真では、上半身裸の河西の後ろにいる金髪の少年が、河西の両脇下から手を伸ばし、バストトップを覆い隠している。少年の顔も河西のすぐ隣に写っている。グラビア界で「手ブラ」と呼ばれるポーズだ。講談社は「少年がバストを隠していたことが社会通念上、読者に不愉快な感情を抱かせる」と判断したことを認め、「撮影時の判断ミスだった」とも話した。

 同社の損失も大きい。同誌の定価は330円で、印刷部数は約67万部としており、単純計算では約2億2110万円の売り上げが入らないことになる。広告の違約金が発生する可能性もある。出版関係者によると、印刷代、製本代、紙代、運搬代などを合わせれば5000万円以上の経費がかかっているとみられる。

 講談社によると、漫画雑誌の発売延期は「非常に珍しい」という。発売延期する「ヤングマガジン」の7号は、問題の写真を差し替えるが、河西のグラビアページ自体はなくならない。さらに以後の号の発売は1週間ずれこんでいく。年間で予定した号数が発売できなくなるが、「合併号などをなくして調整するなど今後協議する」とした。出版関係者は、今回の騒動について「大手出版社は児童書も手がけており、配慮しなければならなかった」と話した。

 河西の写真集の表紙に問題の写真を使わないことも決まったが、同社では写真集の発売自体も白紙に戻して検討中としている。