AKB48が29日、初の東京・国立競技場コンサートを開催した。結成8年4カ月でたどり着いた国内最大・最高峰の会場を、姉妹グループからの助っ人を借りず、単独で7万人を熱狂させた。

 名だたるアーティストが立ってきた国立競技場のステージに、AKB48がついに立った。夕闇迫る春空へ高橋みなみ(22)が声を張り上げる。「国立、始まったぞー!」。グループ総監督の大号令に、客席を埋めた7万のピンクの旗が勢いよく揺れた。

 05年の結成から目標だった東京ドーム公演を12年に実現した。その後、前田敦子や篠田麻里子ら人気メンバーが卒業。転換期を迎えたグループにも、登るべき山はまだあった。7万の客席を、姉妹グループの力を借りず埋めた。グループ単独では、昨年の日本武道館の1万1000人を大きく上回る過去最多動員。渡辺麻友(20)は「7万人、14万の目線をいただきまゆゆ~」と、国立版のキャッチフレーズで盛り上げた。

 06年にAKB48が劇場外で初コンサートを開いた日本青年館とは、目と鼻の先。両会場とも、20年の東京五輪に向け今年中に取り壊される予定。時代の移り変わりを感じさせる公演で、55曲を熱唱した。

 グループ史上最大の晴れ舞台は、意外なゲストから祝福された。アンコールでは、ふなっしーのような着ぐるみを着た、ナインティナイン岡村隆史(43)ふんする「たかっしー」が出現。不思議なダンスで「会いたかった」を踊った。

 フジテレビ系番組「めちゃ×2イケてるッ!」の企画で、卒業を控える大島優子(25)へのサプライズだった。岡村はこの日昼、大島以外のメンバーとリハをしていた。「ちょっと、おかしいでしょう?」と驚く大島を横目に岡村は踊り切った。メンバーも途中から「会いたかっしー」と替え歌で歌い、企画に協力した。

 岡村は大島が出した手をがっちりつかみ「『おおしまっしー』になれ!」と絶叫。「明日も来るかもよ」と予告した。大島が困り顔で「明日はちゃんとした卒業セレモニーなんで来ないで~」と懇願。大きな笑いに包まれた。【森本隆】