<第6回AKB48選抜総選挙>◇7日◇味の素スタジアム

 先月25日のAKB48襲撃事件で被害を受けた川栄李奈(19)が、速報45位から一気に躍進し、16位で初の選抜入りを果たした。欠場が発表されていたが、遅れて会場入りして登壇。驚く観客席に向けて「私のピンチを皆さんがチャンスに変えてくれました」とあいさつして安心させた。もう1人の被害者、入山杏奈(18)も、速報77位から20位にジャンプアップした。

 川栄は泣きながらステージに姿を現した。私服にレインコート姿。傷を負った右手には包帯が透けて見えた。だが、声援を受け、マイクの前に立つと笑顔になった。「私はすごく元気です」。欠場のはずが、メンバーも司会の徳光和夫アナウンサーも驚く登壇は、自分の意思で、7万人を前に胸の内を明かした。

 「正直、速報45位で毎日毎日くよくよしていた時に今回のことが起きて…。でも、今は神様が私に活を入れてくれたんだと思い、こんなところでは立ち止まってはいられないと思えるようになりました。私のピンチを皆さんがチャンスに変えてくれました。何にも負けずに頑張っていきたいと思います!!」

 事件のショックはそう簡単に癒えるはずもない。それでも、気丈に振る舞い続けた。「全然怖くないです!

 大丈夫です!

 応援してくれる皆さんとメンバーがいれば、私は絶対に負けません!

 こんなすてきな私を、あっ、違った!

 すてきな場所を作ってくれて、戻ってこられました」。おバカキャラらしく言い間違えると、観客も「川栄が戻ってきた」と実感し、会場は温かな笑いに包まれた。

 もう1人の被害者、入山も、速報77位から20位にジャンプアップした。頭部を負傷したことから、雨天では登壇を断念せざるを得ず、徳光アナと電話で話した。「もしも~し、あんにんです。今日は行きたかったんですけど、大事を取ってお休みさせていただきました」。大拍手を受話器越しに聞くと、「今回のことでAKBのファンが悪く言われることもあるかもしれないけれど、今の私を支えてくれるのは間違いなくファンの皆さんだってことを言いたかったんです」。

 言葉通り、傷ついた2人の背中をファンが総出で後押しした。【瀬津真也】

 ◆握手会襲撃事件

 5月25日に岩手県滝沢市で行われた全国握手会で、川栄と入山が、のこぎりを持った無職梅田悟容疑者(24)に握手レーンで襲われた。2人は手の骨折など重傷。男は殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。止めに入った男性スタッフを含む3人は、盛岡市内の病院に救急搬送されて入院。川栄と入山は手術を受けた。2人は翌26日に退院して帰京。AKB48は劇場公演を中止。ほかのグループも金属探知機を使った厳重警備の中で公演を行った。各グループの握手会は延期となっている。