和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りした米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」の上映会とシンポジウムが9日、東京・なかのZEROホールで行われた。度重なる抗議電話や街宣予告で東京や大阪での劇場公開が中止された経緯があり、警察官ら10人以上が会場周囲を警備。物々しい雰囲気の中、約500人の参加者が会場に入った。上映に反対する活動家がビラを配り、持論を訴える姿も見られた。報道陣約50人は国内マスコミに限らず、AP通信もテレビカメラを回すなど、世界的な関心の高さをうかがわせた。

 映画にナビゲーターとして出演した活動家のリック・オバリー氏(70)が、サプライズで登壇した。「自分の意思で、皆さんに映画を見ていただきたいと思い、プロモーションのために来日しました」と説明。日本国憲法第21条の表現の自由を保障する条文をパネルで示し、「この映画はアカデミー賞など、さまざまな賞をもらっている。日本の観客に見せる権利がある」と訴えた。