<第21回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞>

 第21回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が3日、決定し、賞主演女優賞は「ICHI」などでバラエティーに富んだ役柄を演じ分けた綾瀬はるか(23)が受賞した。

 綾瀬はるかは「ICHI」で瞽女(ごぜ=盲目の旅芸人)、「僕の彼女はサイボーグ」ではサイボーグと、時代もテイストも違う役に挑んだ。「ハッピーフライト」では、助演ながら新人キャビンアテンダント役で印象を残した。「ありがたく思ってます。私でいいんでしょうか」と控えめに喜びを語ったが、選考会では「若い世代で主演をはれる女優が登場した」と絶賛された。

 「ICHI」では1カ月間、三味線を午前中3時間、殺陣を午後3時間、毎日みっちり練習した。さらに盲目という難役を見事に演じた。おっとり、天然という印象はスクリーンにはない。しかし「もうちょっと目を伏せた方が良かったなとか、反省しつつです」。数センチ、数ミリのことだろうが、自分への厳しさも忘れない。

 演じる役柄の変化は、自分とシンクロしているそうだ。「その時その時の、自分に合った役が来るんだと思います。人見知りしてたころはおとなしい役が多かったし、自分を出せるようになって、明るい役を演じるようになりました。これからは、強い女性になりたいんです。しんを持っている女性が好きです」と話す。すでに今、明るいだけじゃない、しっかりと意思を持った役が多くなってきている。人間としても女優としても成長していることが分かる。

 「今までは楽しむところまではできていなかったかもしれませんが、全力でその場を楽しみたいです。映画の現場が楽しいですし、英語も勉強したいです」。さらに振り幅を広げるため、挑戦が続く。【小林千穂】