映画「アマルフィ

 女神の報酬」(7月公開、西谷弘監督)で、邦画初の全編イタリアロケを行っている俳優織田裕二(41)がこのほど、現地で取材に応じた。人気作家真保裕一氏が映画のために書き下ろした本格サスペンス。邦人誘拐事件の解決にあたるクールな外交官を演じる。世界遺産、名所などで撮影を重ねた2カ月半にわたる超ロングロケも終盤を迎え「こんなぜいたくな作品は初めて」と仕上がりに自信を見せた。

 世界遺産都市アマルフィに「ジリアーモ(本番)」の声が響く。キャスト、スタッフにもイタリア人が多く交じる。織田は「こっちの人は温かくておおらか。ぼくもイタリアに生まれた方がよかったかなというぐらい波長が合う」。昨年12月に現地入りして2カ月以上。すっかり気に入っている様子だ。年末年始も「クリスマスはもちろん、大みそかまで撮って2日からまた撮影。ハードな合宿をやっている気分」と演技漬けの毎日を送っている。

 初体験の連続だ。ローマのサンタンジェロ城やコロッセオ、ナポリのカゼルタ宮殿など各地の世界遺産を駆け回る。ハリウッド作品が製作される名門スタジオ、チネチッタも日本映画として初使用。隣ではペネロペ・クルスが新作を撮影していたという。「本当にぜいたく。これがメード・イン・ジャパンなのって感じ」。外交官役も初めてだ。イタリア語のセリフもあるが「難しいけど、こちらの俳優のアドリブに自然についていけるようになりました」。“長期合宿”の成果を話した。

 フジ開局50周年記念作品の大役。同局の大田亮ドラマ製作担当局長(51)は「ほかの役者は考えられなかった」と絶大な信頼を置く。「製作費もうちで過去最大になるでしょう」(同局長)という大作は、今月いっぱいで撮了予定。織田は「役者をずいぶん長くやっていますが、どんな映画ができるのか予想もできないのは初めて。夏まで楽しみに待っていてください」と、40代初主演作に自信を見せていた。【石井康夫】