俳優堤真一(44)が、脳死や臓器移植、地域医療問題などを描いた本格医療映画「孤高のメス」に主演することが6月30日、分かった。原作は現役医師の大鐘稔彦氏の同名小説で、リアルな現場が描写される。外科医役の堤や看護師役の夏川結衣(41)らは、生体肝移植や肝臓がん摘出手術を取材し準備している。メガホンは「フライ,ダディ,フライ」や「クライマーズ・ハイ」の脚本で知られる成島出監督が取り、5日にクランクイン、来年夏に公開する。

 堤は、ドラマでは90年放送のスペシャル版「白い巨塔」や「ザ・ドクター」で医師を演じたが、映画では初めて。信念を貫く医師役で「多数派に属することのない姿勢に強く共感した。理想的な医療のあり方を描いた作品ではなく、生き方を描いている」と、これまでの医療作品とは違うとしている。夏川も「説得力のある台本にほれ込んで、迷うことなく出演を決めた」とコメントした。

 原作者が現役医師であることに加え、生体肝移植の第一人者で、02年に河野洋平衆院議長と長男太郎氏の間の生体肝移植を執刀した川崎誠治医師が医療監修することも、リアルさを増す。堤は順天堂大付属病院で手術を見学するだけでなく、医師のライフスタイルなども聞いて回った。医師たちも「ここまで詳しく取材するのか」と驚いたという。撮影前から撮影中も合わせると2カ月間、医師になりきる。

 製作・配給の東映は「徹底的にリアルを追求しました。重厚でエンターテインメントな作品になる」と自信を見せている。