オダギリジョー(33)の“幻”の初監督長編映画「さくらな人たち」がDVD化され今月、発売された。映画館での上映にこだわりはなかったというオダギリが取材に応じた。

 物語は偶然出会った3人の男が、幻の桜を目指すコメディータッチのロードムービー。本名の小田切譲の名前で監督、脚本、撮影、編集、音楽を担当した。もともと映画監督志望。製作に約3年かけた意欲作だったが、公開期間は4月に都内で3日間だけだった。

 「作っているうちに映画館で見るべき作品じゃないように感じたんですよ。家でお酒を飲みながら、家族や友達とワイワイ言いながら見てもらいたいと思ったんです。この作品は大きなスクリーンで生きる映画ではなくて、合うのはDVDだなと。映画館ではイベント的に3日ぐらい流せばいいかなと思って」。

 昨年は主演した海外作品3本の撮影で半年間日本を離れ、今年も主演ドラマ「ぼくの妹」の撮影などで休む間もなかった。一息ついた今も、脚本の執筆活動に余念がない。

 「脚本に仕上げたのは何本かありますけど、これからまじめな脚本を書こうと思っています。ばかげたモノを続けて何本も撮ると、信用をなくすでしょ。古き良き日本を書ければいいなと思っています。田舎で育ったし、昨年ずっと海外にいたからこそかもしれないけど、海外の人にも所々で違う日本の美しさを伝えられればと思います」。

 DVDパッケージは満開の桜の写真を背景に、オダギリの主演作「ゆれる」の西川美和監督が手掛けた題字が飾っている。「英題『Looking

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 Cherry

 Blossoms』から、小津映画のような美しい詩的な日本と勘違いされたような方向性でいきたいなと。小津さんの世界を感じさせるパッケージにして、勘違いした人も手に取ってくれればと思っています」。