俳優堺雅人(36)が、そろばん侍になる。主演映画「武士の家計簿」(森田芳光監督)が来年公開され、女優仲間由紀恵(30)と初共演することが16日、明らかになった。堺が演じるのは、加賀藩の御算用者(ごさんようもの=会計専門の下級武士)になった猪山直之。天才的な数学感覚の持ち主で、多額の借金を抱えた猪山家の家計簿を作成し、倹約を進める。

 堺は「実在の家計簿を元にした物語で面白い。僕の役は今でいう経理みたいなものでしょうか。派手なチャンバラはしませんが、幕末と明治という激動の時代に生きた侍の姿をお見せしたい」。加賀藩の財政管理という職務のため、そろばんに集中するシーンもあり、5人の指導者にそろばんの特訓を受けているという。現在の上段1珠(たま)、下段4珠のそろばんと違い、上段2珠、下段5珠の旧式。堺は珠算塾に通ったことがなく、基本の動かし方から練習している。

 仲間は直之の妻、猪山駒を演じる。夫の一番の理解者であり、献身的に夫を支え、明るく家を切り盛りする。「堺さんと初めてご一緒することを楽しみにしています。駒は、夫をきちんと理解して支えるという、時代を超えた理想ともいうべき女性。やりがいと緊張を感じています」。家族をテーマにして多くの作品を残してきた森田監督は「2人には普通人の感覚がある。今回の主人公の2人につながる普通人として、最高の演技を引き出したい」と話した。

 12月3日に金沢でクランクイン。来年1月末に撮影を終え、同4月の完成を予定している。