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岩井俊二監督が映画人材育成に乗り出す

 映画「Love Letter」などで知られる岩井俊二監督(43)が、プロデューサーとして人材育成に乗り出すことが9日、分かった。「プレイワークス」と命名したプロジェクトで、第1弾は市原隼人(18)主演の「虹の女神 Rainbow Song」。自分のもとに寄せられた脚本の映画化を通して、映画界の枠にとどまらないすぐれた才能の発掘、育成にも力を注ぐ。監督や脚本家の慢性的不足に悩む日本映画界にとって、将来を見据えた画期的なプロジェクトになる。

 危機感が突き動かした。ここ数年、岩井監督は躍進する韓国映画界に強い刺激を受けてきた。韓国はハリウッドとリメーク契約を次々と結ぶなど、すぐれたオリジナル脚本を次々と生み出している。一方の日本映画界はベストセラー小説やコミックの映画化が相次ぎオリジナル脚本の映画はほんのわずかという現状。「表現したい世界の出発点だから」とオリジナル脚本にこだわってきた同監督は「このままでは脚本家をはじめスタッフが育たない」。プロデューサーとして企画開発に携わり、さらに人材育成も目的にする新プロジェクトが誕生させた。

 「プレイワークス」は「脚本工房」という意味。プロアマ問わずネット上で脚本を募集する。「映画にかかわりたくても近づき方が分からない人が多い。ネットを使えば問題は解決します」。候補作を選び、同監督を中心に、脚本の練り直し、配役、スタッフ編成など具体的な作業に入る。

 第1弾「虹の女神」(今秋公開)の脚本は作家の桜井亜美さんの作だ。最終的な脚本は2年を費やして完成した。主演は01年の監督作「リリィ・シュシュのすべて」に抜てきした市原を選んだ。監督は「この作品に向いていると感じた」と、05年「ニライカナイからの手紙」で注目された熊沢尚人監督(39)を起用。脚本家を目指す女性を現場スタッフに配置するなど「トレーニングになれば」と将来を見据えた人材育成に並行して取り組む。

 「スタッフは映画界に限定しません。いろいろな才能を持った人がかかわるべき。才能を受け入れるシステムになればいい」。今後は海外にも人材を求める。すでに多くの脚本が寄せられており、関係者は「日本映画界最大のシナリオバンクになった」。今後も続々と映画化を進めていくつもりだ。岩井監督が日本映画界に新しい風を吹き込み、革命を起こす。

[2006年5月10日8時0分 紙面から]

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