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渡辺謙初主演作「明日の記憶」初日に感激

観客1人1人にカーネーションをプレゼントする渡辺謙(撮影・長谷川元明)
観客1人1人にカーネーションをプレゼントする渡辺謙(撮影・長谷川元明)

 俳優渡辺謙(46)の初主演映画「明日の記憶」(堤幸彦監督)が13日、初日を迎え、渡辺が東京・銀座のTOEI(1)で舞台あいさつを行った。エグゼクティブプロデューサーも兼任して企業向け試写会、報道陣との座談会など連日、自身が企画したPR活動を展開してきた。若年性認知症を題材に、大病を克服した「自分だけができる役柄」とほれ込んだ力作に、海外からのオファーも殺到している。

 あいさつ終了後、渡辺は舞台から客席まで降りた。マイクを差し出す関係者を「必要ないよ」と制し、客席に向かって大声で「ありがとうございました!」と深々と頭を下げた。劇中で、渡辺が娘の結婚式で参列者にあいさつする場面と同じせりふ、同じ光景。手塩にかけた作品を送り出す“父”の姿だった。

 主演を務めたほか、エグゼクティブプロデューサーとして、PR活動の陣頭指揮を執ってきた。「同じ目線、同じ温度で、作品の思いを伝えること」をコンセプトに定めた。「一方的な情報を与えるのは嫌」と製作発表などの会見は一切控えた。映画は若年性認知症と闘うサラリーマン(渡辺)と家族の愛情を描いたもの。物語の設定から、大手企業内で社員とその家族を招待した試写会や懇談会を実施。また、ベンチに出演者や記者が自由に座って話す座談会を開催した。

 この日は堤監督とともに入り口に立ち、先着300人に1輪のカーネーションを手渡した。「趣旨でもある『丁寧に手渡しすること』を最後まで貫きたかった。門出にふさわしかったのでは。1人1人の体温を感じられました」と充足感にあふれた表情を見せた。

 海外配給についても、東映と渡辺の米国でのエージェントが共同で海外セールスを展開。ロスの自宅でスタッフと徹夜で英語字幕作業も行った。3月上旬にはロス市内でマーケティング用試写を開催。「文化や習慣をはるかに凌駕(りょうが)する普遍的なテーマを伝えられた感触はある」と手応えを感じている。

 カンヌ映画祭フィルムマーケットにも出品されるが、すでにアジア、北米、英、仏など欧州各地の配給会社から、オファーが相次ぐ。「いい映画を紹介する『イントロデューサー』として、世界中を回るべきかと思っています」。世界各地での公開へ向けて、まだ全力で走り続けるつもりだ。【近藤由美子】

[2006年5月14日10時59分 紙面から]

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