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今村昌平さん通夜、全国から上映オファー

 5月30日に転移性肝腫瘍(しゅよう)で亡くなった映画監督の今村昌平さん(享年79)の通夜が5日、東京・渋谷区の代々幡斎場で営まれた。日本人監督でただ1人、カンヌ映画祭最高賞を2度獲得した巨匠の死を悼んで、多くの映画、芸能関係者が参列した。また、全国の劇場から、追悼特集上映を求める声が上がっていることが分かった。葬儀・告別式は6日午前10時から、同所で営まれる。

 世界的映画監督の死を惜しみ、各地で追悼上映の計画が持ち上がっている。東京・池袋の新文芸座では、8月に約3週間の特集を企画している。前半と後半で、今村監督と今年4月に亡くなった黒木和雄監督特集を行い、8月15日の終戦記念日に、今村監督が原爆を描いた「黒い雨」、黒木監督の戦争レクイエム3部作を上映するという。同劇場の永田稔支配人は「私たちにできることは残った作品を語り継ぐこと」と話した。多くの今村作品にかかわった映画会社の日活には北海道や和歌山から追悼上映の依頼がある。名画座ではない劇場も含まれ、功績の大きさが感じられる。

 また、「黒い雨」=広島、「楢山節考」=長野、「カンゾー先生」=岡山、「赤い橋の下のぬるい水」=富山・氷見市など、舞台になった各地で上映会を行う企画も持ち上がっている。

 通夜には、約650人が参列した。1作品しか出ていない俳優も「今村さんの映画に出たことが誇り」と口をそろえ、「うなぎ」などに出演した役所広司は、仕事先から夜遅く駆けつけた。鈴木清順監督、行定勲監督ら、ベテランから若手まで、多くの監督が参列したことも、映画界に与えた影響の大きさを物語った。

 祭壇には83年「楢山-」、97年「うなぎ」で受賞したカンヌ映画祭最高賞のトロフィーが飾られた。笑顔の遺影は「楢山-」の撮影現場で撮られたものだ。斎場に好んで色紙などに書いた「すべてチンポがかたいうちだぞ」という大きな直筆ボードも運び込まれた。ほかの葬儀への配慮ですぐに撤去されたが、人間と性、ユーモアも追求した監督人生を示す言葉だった。

 棺(ひつぎ)には、わずかに撮影に入ったが完成に至らなかった「新宿桜幻想」の台本や、撮影に使う東北の地図、愛用のスーツ、数年前まで吸っていたたばこが入れられた。食べることが好きだったが、最後は食事ができなかった。天国で好きなものを食べ、たばこをくゆらせ、映画を完成させるのだろうか…。幻の作品も語り継ぎたかった。

[2006年6月6日8時19分 紙面から]

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