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主演たけしで北野監督13作目6月公開

 北野武監督(ビートたけし=60)の13作目の映画が完成し、6月に公開されることが6日、分かった。タイトルは「監督・ばんざい!」。主演はたけしが務める。物語は映画監督の悩みで始まるが、思わぬ方向へ展開していく奇想天外なお笑い映画。たけしなりの「映画」に対する思いを込めた作品で「たくさんの人にご覧いただきたい」と話している。

 世界中の映画ファンから注目される新作は“たけしのお笑いランド”と呼びたくなる内容に仕上がった。映画は新作の構想を練る映画監督の苦悩から始まる。小津安二郎監督風、ラブストーリー、昭和30年代の郷愁感、ホラー、忍者時代劇、SF…。たけし演じる「たけし監督」は、浮かび上がるあらゆるジャンルの新作のアイデアを映画化していくが、さまざまな理由で頓挫していく。登場する7本の映画は、それぞれ本格的な撮影を行った力作ぞろいだが、たけし流のお笑いがちりばめられている。それぞれの“作品”は、実際に新作として構想していたものでもある。森昌行プロデューサーは「持ち前のお笑いをベースに映画作り、映画監督の楽しさを皮肉を交えて表現しています」。

 映画はそのままでは終わらない。貧しい母娘と朴訥(ぼくとつ)な男を主人公にした作品を撮ることになるが、これが予想を超える奇想天外な物語。ギャグを畳み掛けながら、映画はバラエティームービーの様相を呈してくる。珍騒動の結末もたけしらしいオチをつけてみせる。

 撮影は昨年秋、極秘で進められた。監督作すべてプロデュースを手掛けてきた森氏は「今までにないほど撮影を楽しんでいる様子が印象的でした」という。現場には常に笑いがあふれ、ハイテンションな撮影が続いたという。

 出演者も個性的で豪華な顔触れをそろえた。江守徹、松坂慶子、岸本加世子、吉行和子、宝田明、藤田弓子らベテラン勢いに加え、内田有紀、木村佳乃、鈴木杏も出演。それぞれ従来のイメージを覆す演技を引き出されている。

 これまでリアルな暴力描写やアクション、セリフを抑えたクールな人物描写など、独自の表現方法が世界的な評価を得てきた。新作はテーマに「映画」「お笑い」を選び、映画監督とコメディアンとして才能を発揮する、たけしらしさを追求する作品となった。

[2007年2月7日8時42分 紙面から]

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