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たけしがカンヌでちょんまげカツラ
【カンヌ21日=松田秀彦】カンヌ映画祭60回開催記念セレモニーと上映が20日夜(日本時間21日)にメーン劇場で行われ、北野武監督(60=ビートたけし)が羽織はかまにちょんまげカツラのいでたちでレッドカーペットを歩き、各国の巨匠や映画祭関係者の爆笑を誘った。ちょんまげギャグは、97年ベネチア映画祭グランプリ獲得直後からの念願。世界最大規模の映画祭で芸人魂を発揮し、10年越しの夢をかなえた。
レッドカーペットをタキシードやロングドレスで着飾った監督や女優がさっそうと歩く華やかな雰囲気が、日本から来た男の登場で一変した。「タケシ・キタノが何か持っています! 何でしょうかあれは!」。入場者紹介の女性の動揺した声が会場に響いた。たけしはおもむろに手にしていたちょんまげカツラを頭に装着。ゴムひもをしっかりあごの下に通すと各国取材陣が爆笑した。たけしは、してやったりの表情でカメラのフラッシュを浴びた。同映画祭パルムドール(最高賞)獲得実績もあるヴィム・ヴェンダース監督ら各国巨匠も大喜び。格式を重んじる映画祭関係者さえ苦笑するしかなかった。
カツラは1週間前、東京・浅草の仲見世で10個まとめ買いした。1つ200円。数種類から「安物の感じがいいんだよね」とたけしが選び、かぶり心地を確かめ、持ち込んだ。
お笑い出身にしかできないギャグは、10年越しの夢だった。97年ベネチア映画祭グランプリ獲得の授賞式出席後「いつかちょんまげのヅラをかぶって笑わせたい」と話していた。セレモニーは同映画祭が選出した各国トップの監督35組が短編を持ち寄る上映会。「70回や80回記念の時は死んでるかも知れない。今回しかない」と決行した。翌21日の会見では好反響に気をよくしたのか「もっと変な格好で1度追い返され、木馬に乗ってもう1回やってくるってのもいいな。アカデミー賞で席を立ったらはかまが脱げてケツが丸見えというのもやってみたい」と新たな野望も口にした。
たけしが初めて手掛けた短編「素晴らしき休日」はとぼけた味わいの作品。上映会では拍手と笑いも誘い、映画監督としての満足感も味わった。また同短編が新作「監督・ばんざい!」(6月2日公開)と併映されることも発表された。
[2007年5月22日8時42分 紙面から]
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