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新田次郎氏傑作山岳小説を常識破る映画化

 東映は13日、作家新田次郎氏の傑作山岳小説「劔岳(つるぎだけ) 点の記」の映画化を発表した。日露戦争直後、前人未踏といわれた北アルプス剱岳の登頂を命じられた、測量官たちの苦闘を描く。浅野忠信(33)香川照之(41)らが出演し、高倉健(76)らトップ俳優の作品を手掛けてきた木村大作カメラマン(67)が初メガホンをとる。撮影は2年間にわたって、剱岳を中心とした立山連峰で行う予定。製作費10億円を超える大作で09年の公開。

 都内で会見した東映の坂上順常務は「キャスティングやマーケティングに注意を払った作品でもなかなかヒットしない。開き直って自分たちの分かる範囲の本物の作品ならいいのではと映画化を決意しました」と話した。

 小説「劔岳 点の記」は、実在の測量官柴崎芳太郎が不屈の闘志で剣岳登頂に挑む姿をつづっている。名作「八甲田山」などの撮影監督を務めてきた木村カメラマンが「経済至上主義、効率主義の世の中にあって、今とても必要なメッセージがある」と映画化を発案。初めて監督も務める形で製作が決定した。

 77年に発表された原作「劔岳 点の記」はこれまで映像化困難と言われてきた小説だ。北アルプスの立山連峰にそびえる標高2999メートルの剣岳は、登頂ルートによっては滑落事故が後を絶たず、特に厳寒期のロケ撮影は不可能と言われてきた。東映は同カメラマンの情熱に押される形で映画化を決め、足掛け2年、約200日に及ぶ撮影スケジュールを立てた。

 すでに今年4、6月に実景撮影を行っており、俳優参加の撮影は9月から開始する。剣岳に立った人間の目線にこだわるため、CG処理、ヘリコプターによる空撮は行わない。俳優を含む撮影隊は標高2600メートル地点にベースキャンプを張った上、気温が氷点下40度にも達する中、山小屋やテントと山頂付近の上り下りを繰り返す過酷な撮影が予想される。

 同カメラマンは出演交渉を自分で行い浅野、香川、松田龍平、仲村トオルの出演が決まった。主人公役の浅野は「剣岳を登ること、山の中で生活することで自分がどんな表現をするのか、とても興味深い仕事をできることに感謝しています」。同カメラマンは「山岳映画ではない。山を舞台にした人間の心情の物語、人生の映画だ」と意気込んでいる。

[2007年6月14日7時56分 紙面から]

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