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71歳蜷川氏が20歳の芥川賞受賞作を映画化

作家の金原ひとみさん(左)はメガホンをとる蜷川幸雄氏と対面し笑顔を見せる
作家の金原ひとみさん(左)はメガホンをとる蜷川幸雄氏と対面し笑顔を見せる

 作家金原ひとみさん(24)の芥川賞受賞作「蛇にピアス」が映画化され、世界的演出家の蜷川幸雄氏(71)が監督を務めることが25日、分かった。同小説はピアスや入れ墨による身体改造にはまっていく女性を通し、若者たちの心に巣くう闇と悲しみを描く。金原さんの熱烈なラブコールに応え、同氏がメガホンを取ることになった。過激な性描写など体当たりの演技が要求されるヒロインは現在選考中。

 「蛇にピアス」は03年に芥川賞とすばる文学賞をダブル受賞した金原さんのデビュー作。芥川賞選考委員の村上龍氏(55)が当時20歳の金原さんの才能を絶賛した。過激な設定の裏にある物語の純粋さも高評価され、映画化の依頼も殺到した。しかし、蜷川氏の演出舞台の大ファンだった金原さんは、同監督による映像化を熱望。5年越しで映画化を実現させることになった。金原さんは「本当に夢のような話。1人のファンとして楽しみ」と喜んでいる。

 主人公は過激な身体改造にのめり込んでいく19歳の女性。ピアスで開けた穴を拡張させ、蛇のように2つに裂けた舌を持つ男との同せいを続けているが、身体改造の店の店長とアブノーマルなセックスも繰り返す。痛みや快楽、暴力といった過激な描写を交えながら、現代の若者たちが抱える心の暗部を浮き彫りにしている。

 蜷川氏は「僕の中にも、こんな明るい世の中なんて大嫌い、アンダーグラウンドの中で生活したいという欲望はある」。世代のギャップも「気にしていない。作品に共感した自分の中の人間としての資質を信じてそこは突破できるはず」と言う。監督作はこれで5本目。舞台演出では厳しい演技指導でも知られるが「力まないでいきたい。小説が持つイメージを大切にした原作主義でいきたい」。過激な性描写もあるが「逃げるつもりはない」と断言。ヒロイン役の女優はオールヌードが出演条件の1つとなっており、現在はプロアマ問わない形で選考中だ。

 同小説は世界105カ国で翻訳されている。妥協を許さない世界的演出家の手による映画化は国内外を問わず話題を集めそうだ。撮影は年内に開始。ギャガ・コミュニケーションズ配給で来年公開。

[2007年9月26日8時44分 紙面から]

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