神々のパワーを持ちながら、中身は子どもという異色のスーパーヒーローの4年ぶりの続編「シャザム~神々の怒り~」が17日から公開された。

前作では中学レベルの悪ノリでスーパーパワーを無駄遣いしまくったが、主人公のビリー(アッシャー・エンジェル→シャザムに変身後はザッカリー・リーヴァイ)も今作では18歳の設定。半分オトナのハンパな正義感がこの続編を特徴付けている。

前作のシャザムの活躍で、領域を侵された神アトラスの怒りの反撃から物語は始まる。前作の激闘で折れた魔術師のつえが展示されている美術館にアトラスの娘ヘスペラとカリプソが襲来。それぞれをヘレン・ミレンとルーシー・リューというビッグネームが演じ、そのつえを奪って暴れ回る序盤シーンが圧巻で、いや応なくスケールアップを実感させる。

一方のビリーは、同じ里親宅で暮らす5人の兄妹たちとスーパーパワーを分かち合い、災害から人々を救う「ヒーロー活動」にいそしんでいる。兄妹たちにはそれぞれに学園生活もあり、パワーも使いこなしきれないいわばアマチュア集団。そんな彼らが「プロ中のプロ」である神の娘たちとイレギュラーな戦いを繰り広げるところがこの作品のミソになっている。

実年齢20歳のエンジェル(ビリー)から変身した、42歳のオッサン然としたリーヴァイが今回もいい味を出している。

戦いのカギを握る魔術師(ジャイモン・フンスー)の独特のキャラクターや、奥行き無限のビリーたちの隠れ家の造形など、前作から続投のデビッド・F・サンドバーグ監督は細部までこだわっている。

13年の「マン・オブ・スティール」から数えると、DCコミックスの実写化作品として13作目。ひねりの効かせ方も手練れてきた気がする。今作でもDCメンバーのワンダーウーマン(ガル・ガドット)が、それとなく絡んでいいアクセントになっている。

ミレン、リューに続く「大物ゲスト」として、「ウエスト・サイド・ストーリー」(21年)のマリア役で注目されたレイチェル・ゼグラーがみずみずしい魅力を振りまいている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)