ジャッキー・チェン(71)がサイバー犯罪に真正面から立ち向かう。

前作「ライド・オン」(24年)では、一線を引いたスタントマンという設定に牧歌的な空気も漂ったが、同じラリー・ヤン監督がメガホンを取った新作「シャドウズ・エッジ」(12月12日公開)では、レジェンドらしいたたずまいに加え、先端技術にもしっかりフィットしている。71歳の現役感がハンパない。

舞台はマカオ。若手刑事で構成された監視チームは、謎の首領率いる犯罪集団に裏をかかれ続けている。そこに呼ばれるのが引退した敏腕刑事。ジャッキーふんするこの追跡のエキスパートが若手部隊を育てながら、黒幕の首領に迫っていくストーリーだ。

首領には「愛人 ラマン」で注目されたレオン・カーフェイがふんし、貫禄は申し分ない。20年ぶりの共演となったジャッキーとの頭脳戦は、ともに豊かな表情で臨場感を盛り上げる。そしてこれでもかというくらいの格闘シーンも繰り広げる。

高度な監視システムやその裏をかくサイバー戦が、作り込まれたセットで冒頭からかなり綿密に描かれる。引退していた刑事という設定のジャッキーは、これに頼らず経験と勘だけで若手を引っ張るのかと思ったが、追跡車両の中からシステムにリンクし、ハイテクも使いこなす。車中でノートパソコンを手にするジャッキーの姿は新鮮であり、その作業ぶりは驚くほど自然だった。

序盤はカンフーアクションに頼らない出来のいいスパイ映画のようなヒリヒリ感で引っ張り、ジャッキーもそこにしっくりとなじんでいる。

元暗殺者という設定もあって敵役カーフェイの無敵ぶりも強調される。その部下たちにも精鋭感があり、ジャッキー・チームより実力は上という空気が漂う。運と工夫と執念による逆転劇が見どころというわけだ。

終盤の格闘シーンでも、不利な状況を周囲の大道具小道具で逆転していく、これぞジャッキーの持ち味、存分に楽しめる。意外な幕開けも終わってみればジャッキー節全開。現役っぷりを実感した。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)