02年の「28日後…」に始まった近未来サバイバル・シリーズは、3部作の「28年後…」に引き継がれ、昨年6月に1作目が公開された。16日公開の「28年後…白骨の神殿」はその2作目に当たる。
人間を凶暴化させるウイルスのまん延で、生き残った人々は離島や防壁の中で息を潜めて暮らしている。前作の終盤で感染者に追われた少年スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)をすんでのところで救ったカルト集団のリーダー、ジミー・クリスタル(ジャック・オコンネル)。そして、感染者も差別することなく弔い続ける孤高の医師ケルソン(レイフ・ファインズ)が今作を引っ張る。
地獄と化した世界で、闇の君主=覇王の息子を名乗るジミーは、儀式と称して人間を痛めつけ殺し続ける。ふざけたように人を殺すこのキャラクターをオコンネルが怪演。目には狂気が宿ったように見える。「時計じかけのオレンジ」(71年)でマルカム・マクダウェルが演じた暴力的な青年アレックスを思い出す。
今回メガホンを取った「マーベルズ」のニア・ダコスタ監督は、シリーズ生みの親ダニー・ボイル監督の世界観を引き継ぎながら、よりとがった演出で残酷描写に容赦がない。粛正におびえるカルト教団内の空気がヒリヒリと伝わる。
一方のケルソンは白骨を組み上げた宮殿に1人暮らし、感染者から身を守りながら、その治療法について研究を続けている。前作や「教皇選挙」の影響もあるだろうが、ファインズには神々しさが宿って見える。今作では凶暴化の権化のような感染者の巨人サムソンとの接近が見どころで、「治療」を施されたサムソンの瞳にかすかながら人間味が宿る描写に思わずグッとくる。
覇王信奉をうたいながら感染者に止まらず人間の中にも「敵」を見いだして暴走するジミーと、科学の力を信じて「融和」を目指すケルソンはまるで現代の対立図式を映しているようだ。
両者に関わるスパイクを触媒に2人が対峙(たいじ)するヤマ場は、炎が巨大な白骨神殿を浮かび上がらせて3部作独特の世界観を印象づける。ケルソンは神殿の地下に「世界が終わる前」のアナログ盤をコレクションしている。クライマックスではこの中からアイアン・メイデンが効果的に使われている。
ダコスタ監督はニューヨーク・ブルックリン生まれだが、描き出したデストピア世界はどこもかしこも英国的だった。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




