昨秋「ヒガシ逢ウサカ」を解散し、ピン芸人として再出発した今井らいぱち(34)。まず定めた目標は、最終挑戦になる来年のR-1グランプリ。「最後になるんで、ピン芸を極めるためにとりたい」と言う。

「ピンになって半年以上がたって思うのは、1人で全部やらないといけない。相方がいないとサボることもできる。自分がやらないと、何も始まらない」

コンビ時代、エネルギーをぶつけるようなパワフルでつかみどころのないツッコミ、芸風が武器だった。受ける相方がいない。自由と同時に難しさも味わう。

「昨日も新ネタをやって7分、スベり続けました。これ、コンビなら、2人でスベっているので、焦ってしまうところですが、1人なのでやりきるしかない」

痛みを知ることで、それを経験に代え、日々強くもなっていく。バカリズムや、劇団ひとりらを見て「本当にすごいな」と感心しつつ、技を盗もうとも考える。落語を聞いて「話の間」も学んだ。1人コントや、キャラ芸も確立すべく「コンビの時より、いろんなところにヒントがあると思って、勉強するようになりましたね」とも話す。

あこがれ、目標にするのは出川哲朗。「リアクションも、体を張ったネタもやりますよ」と笑う。

「僕はネタ職人のタイプではない。コントも突き詰めていきたいし、僕自身を愛されるような、自分自身を芸として落とし込める芸人になりたい。体も張りますが…G…ゴキブリだけはダメです(笑い)」

コロコロチキチキペッパーズ、霜降り明星らが同期。かつて同じ劇場で競ったアインシュタイン、見取り図らもテレビで活躍する。

「刺激というか、いつも一緒にやっていた仲間なんで、誰にでも可能性はあると思える。何かのきっかけでオレもいける! と思っています」

同期や仲間の活躍は、自らへの期待、自信にもなる。後輩にネタを演じさせ、自らはMCに入る「らいぱち先生の体育の時間」シリーズで、進行、仕切りの勉強に励む。

「全然からんでない後輩芸人とかをあえて呼んで、僕が盛り上げていかないといけないから」

スキル向上に努める日々。ブレークして…その先の夢には「俳優業」もある。

「坊主頭は変わらないと思うんで、アウトローのVシネ系とか。岸和田少年愚連隊、パッチギ! とかの世界観が好き。井筒(和幸)さんの作品に出たい! 呼んでください(笑い)」

その大きな夢をかなえるためにも、まずは芸磨きから。当面の目標に定めたR-1制覇へ向けて、大事な期間となる今年の下半期の漢字を聞いた。

「突、ですね。突撃、そして突出。全力でとにかく突き出ていく。飛び出て目立つピン芸人なりたい」

コンビ芸からピン芸へ-過渡期の殻を破る“突破力”に期待が高まる。【取材・村上久美子】

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◆今井らいぱち 1987年(昭62)4月6日、滋賀県生まれ。NSC(吉本総合芸能学院)33期同期の高見雄登と「ヒガシ逢ウサカ」を組むも、昨年10月解散し改名。現名の名付け親は見取り図の盛山晋太郎。血液型A。趣味は飲酒、銭湯、料理、野球、筋トレ。

▼7月31日 らいぱち先生の体育の時間(森ノ宮よしもと漫才劇場)午後6時開演。前売り1200円、当日1500円、配信1200円。ゲスト:なにわスワンキーズ/コウテイ/ちからこぶ/キャツミ

▼8月31日 らいぱち先生の体育の時間(森ノ宮よしもと漫才劇場)午後8時15分開演。前売り1200円、当日1500円、配信1200円。ゲスト:隣人/紅しょうが/カベポスター/タチマチ