「血糖値」…健康診断で測る、糖尿病かどうかを知る数値、というイメージでしょうか。実は、ダイエットにおいても血糖値の上昇を抑えるのはとても重要。いかに血糖値をコントロールするかがキーポイントです。

食前に血糖値測定する五戸です(2017年3月、「すき家」新商品記者発表会で)
食前に血糖値測定する五戸です(2017年3月、「すき家」新商品記者発表会で)

ダイエット編5「血糖値とダイエットの関係」

 【前回までのあらすじ】 トーク編と併行して連載中のダイエット編。ゆるやかな糖質制限「ロカボ」(注1)に出会ってから、おなかいっぱい食べても体型キープ。快適なダイエットが続いています。第2回「糖質制限はカロリー制限より減量効果がある」、第3回「糖質は何に含まれているか」、第4回「糖質はゼロにしちゃダメ」、でした。

血糖値測定中の五戸です。指先を消毒し、針を刺しています(2017年3月、東京・青山で行われた「ロカボスイーツパーティー」で)
血糖値測定中の五戸です。指先を消毒し、針を刺しています(2017年3月、東京・青山で行われた「ロカボスイーツパーティー」で)

 ロカボの名付け親で、北里研究所病院糖尿病センター長で医学博士、「一般社団法人 食・楽・健康協会」代表理事の山田悟先生の著書「ロカボで食べるとやせていく」(幻冬舎)と、山田先生監修の新刊『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)を参考図書に、北里研究所病院で山田先生に取材した内容を、以下にまとめます。

針を刺した後、指を押さえて、血液が少し出るようにします。痛くないですよ(パーティーで)
針を刺した後、指を押さえて、血液が少し出るようにします。痛くないですよ(パーティーで)

健康診断は「空腹時血糖値」

 健康診断の時に、「食事をとらずに来てください」と言われますよね。食後は血糖値が上がるので、何も食べていない時の「空腹時血糖値」が、糖尿病や糖尿病予備軍でないかを判断する要素になるわけですが…よく考えてみてください。空腹時に血糖値が異常になっているということは、既にかなり異常な状態です。

血液を測定器にあてて、血糖値を測定します(パーティーで)
血液を測定器にあてて、血糖値を測定します(パーティーで)

重要なのは「食後血糖値」

 「空腹時血糖値」が異常になっている方は、その前に「食後血糖値」が異常に高くなるという現象が起きています。正常な方は、空腹時血糖値が70~110(mg/dL)、食後血糖値(ブドウ糖負荷後2時間血糖値)が70~140(mg/dL)が目安です。糖尿病の方でなくても、自分は「食後血糖値」が上昇しすぎていないか知るのは大事なことです。

ロカボスイーツパーティーでは、こんなに食べて、さらにアイスとシュークリームをお代わりしたのに、五戸は食後血糖値が正常でした。ロカボスイーツなら安心して食べられますね
ロカボスイーツパーティーでは、こんなに食べて、さらにアイスとシュークリームをお代わりしたのに、五戸は食後血糖値が正常でした。ロカボスイーツなら安心して食べられますね

 そして、ダイエットにおいても「食後血糖値」は重要。ロカボでのダイエットは「食後血糖値」をあまり上げないようにするという方法なんです。

そもそも「血糖値」とは

 血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のこと。糖質を摂取すると、消化管で消化されて、血液中に吸収され、血糖値が上がります。血液中の糖質を、体内の細胞に送り込み、エネルギーとして利用できるようにするために、「インスリン」が分泌されます。インスリンは血液中で糖質の処理をしてくれているんです。

食後血糖値が「111(mg/dL)」と表示されました。70~140(mg/dL)が正常値なので、バッチリです。このように、測定器があれば自分で簡単に測定できます(パーティーで)
食後血糖値が「111(mg/dL)」と表示されました。70~140(mg/dL)が正常値なので、バッチリです。このように、測定器があれば自分で簡単に測定できます(パーティーで)

肥満スパイラル

 ただこのインスリン、筋肉量が少ないと、筋肉組織ではなく、脂肪組織に糖質を送り込んでしまうんです。脂肪に余分なエネルギーが行くということは、また脂肪が増えるということ。つまり、筋肉が少なく脂肪が多い人は、さらに太ってしまう…“肥満スパイラル”です。

そして糖尿病に

 脂肪が増えると、困ったことに、インスリンの効きが悪くなります。すると体は、前よりもたくさんインスリンを出すようになります。そうすると、ますます太りやすくなります。この“肥満スパイラル”が極限まで達すると、体はインスリンを作り続け、出し続けることで疲れ、やがてインスリンを少ししか作れなくなってしまい、血糖値を十分に下げられなくなります。これが糖尿病です。

すき家の「ロカボ牛麺」を食べた後の食後血糖値も正常値だった五戸です(2017年3月、「すき家」新商品記者発表会で)
すき家の「ロカボ牛麺」を食べた後の食後血糖値も正常値だった五戸です(2017年3月、「すき家」新商品記者発表会で)

 糖尿病にならないように、そしてその前段階として“肥満スパイラル”に陥らないようにするためには、血糖値を上げすぎないようにしなければなりません。

血糖値を抑えて肥満を防ぐ

 血糖値は食事として糖質を食べたときだけ上がると考えて、ほとんど間違いありません。つまり、糖質を食べる量さえ減らせば、血糖値は上がりにくくなるということ。それが「糖質制限」であり「ロカボ」です。ロカボは、毎回の食事の糖質量を、体が燃やしきれる適正な量にすることで、血糖値を低く抑え、肥満を防ぎ、健康的なダイエットができるんです。(次回ダイエット編は第6回「カロリーとダイエット」です)

山田悟先生を取材する五戸です(2017年3月、北里研究所病院で)
山田悟先生を取材する五戸です(2017年3月、北里研究所病院で)

本日のごのへの・ご・ろ・く

血糖の コントロールが ダイエット

 (注1)「ロカボ」は“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、一日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限です。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。