「朝はスムージーだけにしてます」や「毎日果物を食べるようにしています」、さらに「健康のために野菜ジュースを飲んでいます」などなど…世の中にはびこる都市伝説に惑わされている方、たくさんいると思います。果物は決して悪者ではないけれど、ダイエットのためには、付き合い方を考えないといけないんです。

ダイエット編11「果物に気をつけろ」

 【前回までのあらすじ】トーク編と並行して連載中のダイエット編。「ロカボ」(注1)に出会ってから、おなかいっぱい食べて、楽しくダイエットを継続中。第5回「食後の血糖値を上げないようにするのがダイエット」(4月27日更新)、第8回「お肉はいっぱい食べよう」(5月18日更新)、第9回「油もいっぱい食べよう」(5月26日更新)、第10回「人工甘味料より砂糖のほうが怖い」(6月5日更新)でした。

大好きなりんご狩りに行った五戸です(2015年10月、青森で)
大好きなりんご狩りに行った五戸です(2015年10月、青森で)

 ロカボの名付け親で、北里研究所病院糖尿病センター長で医学博士、「一般社団法人 食・楽・健康協会」代表理事の山田悟先生の著書『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)と、山田先生監修の新刊『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)を参考図書に、北里研究所病院で山田先生に取材した内容を、以下にまとめます。

果物は「血糖値を上げない」とは

 ほとんどの果物には糖質がたくさん含まれています。特に最近は品種改良で甘みが強くなっているものが多いので、より糖質量が増えています。

 果物が体に良いと言われるようになったのは、「血糖値を上げない」と思われていたから。数字上は確かに上がらないんですが、実質は上がっているんです。どういうことかというと…

最近の自炊。五戸流「糖質オフ・タコライス」。ご飯の代わりに、紀文の「糖質0g麺」を敷いて、具をのせています。これならほとんど糖質がないので、食後にフルーツ食べられます(2017年6月)
最近の自炊。五戸流「糖質オフ・タコライス」。ご飯の代わりに、紀文の「糖質0g麺」を敷いて、具をのせています。これならほとんど糖質がないので、食後にフルーツ食べられます(2017年6月)

果物の甘み「果糖」の怖さ

 果物の甘さには「果糖」という糖が含まれています。この「果糖」がなかなかのやっかいもの。

 果物を食べると、「果糖」は10~20%だけ体内で「ブドウ糖」に変換されます。「果糖」の残り80~90%は、「果糖」のまま血中を回ります。「血糖値」とは、血中の「ブドウ糖」の量を計測した値なので、「果糖」は計測されないんです。つまり、果物を食べた時は、変換されたわずかな「ブドウ糖」の分だけが値として出ているというからくり。血糖値が上がっていないように見えるだけで、実際は「果糖」として吸収されている、というわけです。

「果糖」は「内臓脂肪」に

 血中の「果糖」は、体内で中性脂肪に変化して、内臓にくっつきます。「果糖」は「内臓脂肪」になりやすいんです。内臓脂肪が増えると、「脂肪肝」という、中性脂肪が肝臓にたまり過ぎた状態になることも考えられます。

果物との付き合い方

 全く食べてはいけないというわけではなく、ちゃんと量を考えよう、ということ。果物をおやつ代わりに食べるなら、ロカボの間食として糖質10gまでに、もしくは食事全体で40g以内に収めると、ロカボダイエットができます。

 糖質量10gがどのくらいかを記載しますね。

 「スイカ」なら200g、「オレンジ」なら半個、「バナナ」なら1/3本、「キウイ」なら1個、「メロン」なら1/8個が目安です。

果糖の怖さを知る前は、私もスムージーを作って飲んでいました。写真の量だと糖質約50gといったところ…完全にオーバーですね…
果糖の怖さを知る前は、私もスムージーを作って飲んでいました。写真の量だと糖質約50gといったところ…完全にオーバーですね…

野菜ジュースも注意

 また野菜ジュースは、果物を加えて甘くしているものが多いので、注意が必要です。栄養成分表示の「糖質」もしくは「炭水化物」を見て確認を。

 こう書くと、野菜ジュースメーカー泣かせの、果物農家泣かせですが…。

私もりんご大好きです

 私は父が青森出身で、親戚が今も青森にたくさんいるのでよく行くのですが、青森といえばりんご。私もりんご大好き。一番好きなフルーツです。りんご農家さんは雨にも負けず風にも負けず、りんごに愛を注ぎ、毎日毎日大切に育てています。これからもがんばっていただきたいというのが本心です。

長い目で果物農家を守りたい

 今は「シードル」というお酒にするなど、加工技術が上がっているので、日持ちをさせることで、少しずつ楽しめたら、と思います。

 果物を食べ過ぎる人が多ければ、血糖異常や脂肪肝に悩む人が増えるわけで、病気になってしまったらますます果物が食べられなくなるので、果物の摂取量を適切にするのは、長い目で見ると果物農家さんを守ることにもなるのではないかと思うのです。(次回ダイエット編は第12回「注目のロカボ新商品」です)

山田悟先生にお話を伺っている五戸です(北里研究所病院で)
山田悟先生にお話を伺っている五戸です(北里研究所病院で)

本日のごのへの・ご・ろ・く

スムージー 健康的に 見えるだけ

 (注1)「ロカボ」は“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、一日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限です。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。