還暦でAKBデビューしました。先日、聖地である秋葉原のAKB劇場で行われた高橋みなみプロデュース「お蔵入り公演」を、ある取材に関連して見てきました。生でAKBの公演を見るのは初めてでしたが、300人あまりしか入らないAKB劇場は熱気にあふれていました。

 入社以来、歌舞伎、新劇、小劇場、宝塚、ミュージカル、レビューなどの演劇、落語、漫才の演芸、能、狂言から海外からの来日公演を含めて数々のステージを見て来ました。見ることに「すれっからし」の記者ですが、AKBの公演のグレードの高さに一気にテンションが上がりました。

 「お蔵入り公演」と銘打つように、数多いAKBの曲の中から、ヒットせず、忘れられた曲を厳選した構成でしたが、どれもいい曲でした。歌詞の奥深さに驚くとともに、たった1回の公演なのに、息のあったダンスコンビネーションに圧倒されました。高橋みなみ、指原莉乃、柏木由紀、横山由依ら人気者から若手まで16人が出演しましたが、トップアイドルになった今も、わずか300人の観客の前で手を抜かない姿にすがすがしい気持ちにもなりました。

 ジャニーズ公演も同じことが言えますが、「AKB」「ジャニーズ」ともにアイドルというレッテルから、一般的に本来の力を過小評価されがちです。00年から続く堂本光一「SHOCK」は年々充実度を増す名作舞台だし、先日行われたV6坂本昌行の「ワンマンコンサート」ではミュージカル俳優としての歌唱力の確かさを堪能しました。

 昔からいくつもの女性アイドルグループの公演、舞台を見る機会がありましたが、完成度の高さ、個々のキャラクターの鮮明さに、AKBばかりは別格と感じました。【林尚之】