「050」で始まる見知らぬ番号からスマホに「ワン切り」とみられる着信があった(※実際には数回着信音がなったかもしれないが、本稿では、相手に着信番号だけ残して折り返させる目的で短時間だけ電話を鳴らす行為を『ワン切り』とします)。

ただ、久しくワン切り的な電話を受けていなかったため、「ワン切り業者対策」の“いろはのい”である「完全無視する」という基本的対応策をすっかり忘れ、「スマホに登録していない、誰かの電話番号かな…」とのんきに思ってしまい、深く考えずにその番号に折り返してしまったのだ。

すると、コンピューターのような機械的な音声で

「お電話ありがとうございます。お金の悩みを必ず解決、お金情報センターです。こちらよりお電話がかかってきた、お金がご必要なすべてのお客様に、お金を借りずに現金を作る解決方法がございます」

というアナウンスが流れた。

責任デスク日なら爆発的本数の電話があるため知らない番号に折り返している余裕はないのだが、サブデスク的な日だったため気のゆるみが生じつい発信…
責任デスク日なら爆発的本数の電話があるため知らない番号に折り返している余裕はないのだが、サブデスク的な日だったため気のゆるみが生じつい発信…

そのまま聞き続けると

「過去にご融資を断られてしまったかた、自己破産、債務整理などをされているかた、年齢的に難しいかた、今現在休職中のかたでもお金をご用意できる解決情報がございます。また、ご融資を考えられているかたで本日、最低金利で融資を受けられる金融機関を知りたいかた、一時的にお金がご必要なかたで短期間のご返済で無利息キャンペーンを実施している情報などをまとめ、お客様に有益な情報を無料でお伝えしております。このような情報が必要ないかたはこちらからのお電話を今後一切さし控えますのでプッシュボタンの1を押してください。お金が必要なかたでお客様にとって一番良い解決方法をお知りになりたいかたは、プッシュボタンの2を押してください」

と音声が続いた。総時間はだいたい1分22秒。さすがに音声を聞きながらわれに返り、「1」も「2」も押さずに切った。

すぐ、この「050」で始まる怪しい着信番号をネット検索してみると、多くの人が「ワン切り迷惑電話」として情報を共有していたから、けっこうあちこちにかけられていることが推察された。

よく考えたらだいぶ以前、筆者は自分で「ワン切り」被害を取材し、その特集記事を書いたことがあったような気がしたので過去記事検索してみると、確かに2001年5月に「『ワン切り』の被害者続出」という見出しの記事を社会面で書いていた。

その時は「ワン切り」の手口が出始めたばかりのころだったと思われ、主に「悪質出会い系サイト業者」による被害を中心に書いたが、今から17年半も前である。

今回、筆者にワン切りをしてきた怪しい金融系業者が、ワン切り的宣伝以外の部分で「悪質」かどうかはまだ、実際に利用したわけではないので断定できないが、20年近く、なんだかんだいってワン切りという“手口”が続いていたことにちょっとした驚きを覚えた。

この手の業者に対しては、よく「電話を折り返したらダメ」と呼び掛けられるが、筆者はすでに折り返してしまったから時すでに遅し。

というわけで今後、同業者からの何らかの怪しいアプローチ第2弾、第3弾があるかもしれないが、興味深い動きがあれば続報として記していきたい。

【文化社会部・Hデスク】