当欄でたびたび「吉野家」「松屋」などの牛丼チェーン系ネタを記しているが、大学時代から琉球エリアへの単独渡航を繰り返している離島マニアの筆者としては、沖縄でよく利用してきた24時間営業牛丼チェーン「どん亭」の存在に1回も言及できていなかったことにずっと内心、どこかひっかかるものがあった。

つい最近も、那覇入りした際、「あぐーしゃぶしゃぶ」店の誘惑を振りきり、沖縄を中心に展開する「やっぱりステーキ」や「ステーキハウス88」に行くのも後回しにして、真っ先に「どん亭」牧志店に突撃したことを、ここに告白するものである。

沖縄の「どん亭」は牛丼やカレーを軸にすえつつも、明らかにほかの大手牛丼チェーンと一線を画す「沖縄ならでは」のメニューがあるのが大きな特徴と言える。

ずばり、「沖縄そば」があるのだ。しかも、「ミニ沖縄そば」や「軟骨ソーキそば」「もやしナムルそば」「沖縄そば&牛丼セット」などバラエティーに富んだメニューもある。さらに代表的な沖縄料理である「ゆし豆腐」も提供しているからすごい。

セットメニューもさまざまなパターンがあり、今回、券売機でセットやら単品やらでいろいろ買っているうちにボリューム感満点の、まさに「沖縄の牛丼チェーン」ならではの“豪華ディナー”ができあがっていたのである。

「どん亭」で沖縄そばとゆし豆腐と牛丼を一緒にたいらげるという“奇跡”を実現、わけのわからない達成感に浸る(※「牛丼のごはんは半分くらいでお願いします」と妥協注文したため、写真の牛丼は通常よりごはんが少なめです)
「どん亭」で沖縄そばとゆし豆腐と牛丼を一緒にたいらげるという“奇跡”を実現、わけのわからない達成感に浸る(※「牛丼のごはんは半分くらいでお願いします」と妥協注文したため、写真の牛丼は通常よりごはんが少なめです)

注文品を並べてみると、牛丼を中心に「ミニ沖縄そば」と「ゆし豆腐」が抜群の存在感を発揮する。さらにサラダを加え、もともとセットに1個ついていた生玉子をもう1つ追加し、計2個にした。

押し寄せる興奮とともにこれらを一気にたいらげたのだが、沖縄そばには軟骨まで食べられる本格的なソーキが入っており、だしもいい感じで効いている。ゆし豆腐も味付けが美味だから、もう、「満足」としか言いようがない。これだけ注文して確か合計額は1020円だから文句なしだ。

ちなみに「どん亭」はもともと、現在「七輪焼肉安安」などを展開する株式会社富士達(本社・横浜市)が1982年、東京・大井町に出店したのが最初という。その後、川崎市内や都内のほか、同社社長が沖縄に近い鹿児島・与論島出身ということもあってか、沖縄にも展開したようだ。

その後、閉店するなどし、沖縄以外の「どん亭」はかなり少なくなってしまったようだが現在、沖縄で展開する「どん亭」は「牧志店」「国際通り安里店」「沖大前店」の3店舗(※沖縄以外の「どん亭」が現在何店あるかは正確に調べきれておらず、すいません)。いずれもFC店のようで、沖縄の3店は独自に公式サイトを立ち上げており、那覇で約20年展開しているとし、公式サイトを見ると、自ら「お手頃価格でボリューム満点! インディーズチェーン店へようこそ!!」とうたっている。

思えば、沖縄最大の繁華街、那覇・松山にも中心部に「どん亭」があり、かつての同エリアで特徴的だった「多数のキャッチが一斉かつ同時に、男性通行人に猛烈につきまとい勧誘してくる」攻撃(※かつては1人や2人の男性通行人に10人くらいのキャッチが一気に群がり勧誘合戦を繰り広げる光景もよくあったが、客引き行為への法的規制が強化されたこともあってか、最近は以前ほどひどくはない印象)から逃げるように入店し、ついでに牛丼を食べる…などのパターンで頻用していたのだが、気づけばいつの間にか閉店していて、寂しい限りだ。

沖縄そばとゆし豆腐と牛丼を同時に食べることができるという、あまりにも貴重なこの沖縄の「どん亭」3店には、今後も頑張ってほしいと勝手に思っている。【文化社会部・Hデスク】